参加型学習
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授業での開発教育教材活用ヒント(学習指導要領対応つき):『豊かさと開発』編
『豊かさと開発(改訂版)』を学校授業で実践するための各アクティビティと学習指導要領とを対応させた解説手引きです
キーワード
共生・合意形成・多様性・マジョリティ/マイノリティ・持続可能性・市民参加
指導のねらい
- 私たちの生活は、多様な立場、価値観を持つ人たちで構成された社会にある。人や立場によって「豊かな社会」の基準が異なることを学びつつ、自らの「豊かさ」を構築する。
- 政治参加・市民参加における「参加」の意味を具体的に読み解き、様々な段階の参加があるなかで、多様な参加の保障が豊かな社会づくりに重要であることを理解する。
- 地域や社会の「事象」を、環境、経済、社会、意思決定の観点から分析することで、社会のアクターや立場、構成要素や構造的問題を理解する。
- 民主的なプロセスに不可欠な合意形成を、シミュレーションを通じて学び、他者との対話、議論の方法を体験・理解する。
- 公正で持続可能な社会の具体を描き、未来を創造するために自分たちにできることを考える。
アクティビティのポイント
アクティビティ1「豊かな社会に大切なこと」
- 「自分にとって」の豊かな社会を確認することで、社会開発に必要な観点を理解する。
- 「自分にとって」の後に「他者(マイノリティと思う人)」を想定して豊かな社会を想定した際の共通点や相違点を確認することで、多様な立場による豊かさの共通点と相違点を理解する。
- 「他者」の想定に、「想定できない立場の人」がいることを認識することで、社会のマジョリティ性とマイノリティ性の関係を理解する。
アクティビティ2「どんな参加をしているのか?」
- 「参加」には段階(質)があることを知り、共同体や組織で動く際には様々な参加のあり方があることを理解する。また「みせかけの参加」があることを理解する。
- 家庭や部活動といった課外活動、学校外活動など、実際の参加状況を分析することで、自らの主体的な参加とその環境をふりかえることができる。
- 多様な「参加」が織りなすのが市民社会であることを理解する。
アクティビティ3「写真で話す、私たちの世界」
- 自分たちの暮らす地域社会や学校の写真を用いると、地域分析をすることができる
- 社会やものごとをみる側面には「環境」「経済」「社会」「意思決定」という観点があり、何かに偏ったものの見方ではなく幅広い視野があることを理解する。
アクティビティ4「豊かな社会に向けてどんな開発を進めるのか」
- 対話や議論、他者とのコミュニケーション、グループダイナミクスを体験的に学ぶ。
- 多様な人が対話や議論に参加するための環境づくり(参加のルール)の重要性を理解する。
- 合意形成には葛藤があることを体験し、民主的な合意形成の困難さを理解する。そのうえで、合意形成を避けてしまえば、民主的な意思決定ができないことも理解する。
アクティビティ5「持続可能な開発を実現する未来」
- 公正で持続可能である、とは具体的にどういうことかを自ら描く。
- 未来を描きながら、そのために必要なことを見える化し、次の学習へと繋げる。
単元・教材・学習指導要領(平成29・30・31年告示)対応表
中学校 社会科公民的分野
| 単元例 | 学習指導要領 | アクティビティ |
|---|---|---|
|
現代社会と私たちの生活 ①多様性の尊重と共生社会 ②対立と合意 |
内容A: 私たちと現代社会 (1)私たちが生きる現代社会と文化の特色 (2)現代社会を捉える枠組み |
①1,2,3 ②4 |
|
「私たちの暮らしと政治」 地方自治と住民参加 |
内容C: 私たちと政治 (1)人間の尊重と日本国憲法の基本的原則 (2)民主政治と政治参加 |
1,2,3,4 |
|
「国際社会の諸課題」 持続可能な社会に向けて |
内容D 私たちと国際社会の諸課題 (1)世界平和と人類の福祉の増大 (2)よりよい社会を目指して |
5 |
文部科学省(2017)「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 社会編」
高校公民
| 単元例 | 学習指導要領 | アクティビティ |
|---|---|---|
|
「多様な主体による共生社会の 形成」 ①多様性の尊重 ②合意形成 |
公共(1) ア: 人間としての尊厳と公正・社会参画 (イ) 自律した主体としてよりよい社会の形成に 参画する資質・能力 イ: 選択・判断の基準と対立・合意、効率と公正 |
①1,2,3 ②4 |
|
「地方自治と住民参加」 ・持続可能な地域社会 ・地域課題の解決と合意形成 |
公共(1) イ: 選択・判断の基準と対立・合意、効率と公正 公共(2) ア: 政治参画と法や規範の形成 (イ) 日本の政治機構と政治参加 / 政治・経済 (ウ) 地方自治と現代の政治 |
1,2,3,4 |
| 「国際社会の諸課題」 |
公共(2) ウ: 経済社会の変遷と持続可能な発展 公共(3) 持続可能な社会づくりと私たち |
5 |
・文部科学省(2018)「高等学校学習指導要領(平成30年告示) 公民編」
中学校 地理的分野
| 単元例 | 学習指導要領 | アクティビティ |
|---|---|---|
|
「国際理解・多様性・共生社会」 ・生活文化の多様性 ・地球的課題の解決 |
第2内容B: 世界の諸地域 第2内容C: 日本の諸地域 (1)身近な地域の調査 |
1,3 |
|
「持続可能な社会に向けて」 ・地域課題の解決に向けた取り組み |
第2内容C: 日本の諸地域 (7)地域の在り方と住民の参画 |
1,2,3,4,5 |
・文部科学省(2017)「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 社会編」
高校地理総合
| 単元例 | 学習指導要領 | アクティビティ |
|---|---|---|
|
「国際理解と国際協力」 ・生活文化の多様性 ・地球的課題の解決 「持続可能な地域づくりに向けて」 ・地域調査の実践 |
内容B: 国際理解と国際協力 (1)生活文化の多様性と国際理解 内容C: 持続可能な地域づくりと私たち (2)生活圏の調査と地域の展望 |
1,3 |
※「学習指導要領目標(3)」では、「地理に関わる諸事象について、よりよい社会の実現を視野にそこで見られる課題を主体的に追及、解決しようとする態度を養う」とされています。
・吉崎亜由美(2024)「豊かさと開発~『貧困(貧しさ)とは何かを考える』」『SDGs時代の地理教育』pp.112-117 学文社
・文部科学省(2018)「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 地理歴史編」
中学家庭分野
| 単元例 | 学習指導要領 | アクティビティ |
|---|---|---|
|
「家族・家庭生活と地域の関わり」 家族の多様化と地域社会とのつな がり・参画 |
内容A: 家族・家庭生活 (3)家族・家庭や地域との関わり (4)家族・家庭生活についての課題と実践 |
1,3 |
|
「幼児や高齢者との触れ合い」 共生社会や世代間交流 |
内容A: 家族・家庭生活 (2)幼児の生活と家族 (3)家族・家庭や地域との関わり ア: 家族・家庭や地域との関わり |
1 |
|
「衣食住を通じた多様性の理解」 共生を支える住まいと近隣住民との 関係づくり |
内容B: 衣食住の生活 (1) 住生活 イ地域の住環境と住み方 |
1,3,4 |
|
「私と家族・家庭生活」 地域社会とのつながり |
内容A: 家族・家庭生活 (1)自分の成長と家庭生活との関わり ア: 自分の成長と家庭生活との関わり、 家族・家庭生活の基本的な機能、家族 や地域の人々との協力・協働 内容B: 衣食住の生活 (7)衣食住の生活についての課題と実践 ア: 食生活、衣生活、住生活についての 課題と計画、実践、評価 |
1,3,4 |
※「3. 内容の取扱いにおける関連(第3-2-(2))」では、指導計画の作成にあたって、以下のような配慮が求められています。「(前略)地域の人々と協働したり、地域の施設や資源を活用したりすることの重要性についても取り扱うようにすること。」
・ 文部科学省(2017)「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 技術・家庭編」
高校 家庭基礎
| 単元例 | 学習指導要領 | アクティビティ |
|---|---|---|
|
「衣食住を通じた多様性の理解」 共生を支える住まいと近隣住民 との関係づくり |
内容B: 衣食住の生活の自立と設計 (3) 住生活と住環境 イ: 住居と地域社会との関わり |
1,3,4 |
|
「私と家族・家庭生活」 地域社会とのつながり |
内容A: 人の一生と家族・家庭及び福祉 (5) 共生社会と福祉 ア: 福祉や社会的支援について理解する イ: 共に支えあって生活する 内容B: 衣食住の生活の自立と設計 (3) 住生活と住環境 イ: 住居と地域社会との関わり、環境に 配慮した住生活や住環境 |
1,3,4 |
|
「持続可能な暮らしと環境」 持続可能な社会に向けての参加 と協働 |
内容C: 持続可能な消費生活・環境 (3) 持続可能なライフスタイルと環境 ア: 持続可能な社会へ参画する |
1,2,3,4,5 |
・文部科学省(2018)「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 家庭編」
【家庭科学習指導要領参考表】
| 中学 家庭分野 | 高校 家庭基礎(2単位) |
|---|---|
|
目標 (1)生活の自立に必要な基礎的な理解とそれに係る 技能の習得 (2)生活の中から問題を見出して課題を設定し、~ これからの生活を展望して課題を解決する力を養う (3)家族や地域の人々と協働~よりよい生活の実現 に向けて生活を工夫し,創造しようとする実践的な 態度を養う |
目標 (1)生活を主体的に営むための基礎的な理解とそれ に係る技能の習得 (2)生活の中から問題を見出して課題を設定し、 ~生涯を見通して課題を解決する力を養う (3)様々な人々との協働、地域社会への参画、 生活の充実向上を図ろうとする実践的な態度を養う |
|
A 家族・家庭生活 (1)自分の成長と家族・家庭生活 (2)幼児の生活と家族 (3)家族・家庭や地域とのかかわり (4)家族・家庭生活についての課題と実践 B 衣食住の生活 (1)食事の役割と中学生の栄養の特徴(食) (2)中学生に必要な栄養を満たす食事(食) (3)日常食の調理と地域の食文化(食) (4)衣服の選択と手入れ(衣) (5)生活を豊かにするための布を用いた製作(衣) (6)住居の機能と安全な住まい(住) (7)衣食住の生活についての課題と実践 住生活 C 消費生活・環境 (1)金銭の管理と購入 (2)消費者の権利と責任 (3)消費生活・環境についての課題と実践 |
A 人の一生と家族・家庭及び福祉 (1)生涯の生活設計 (2)青年期の自立と家族・家庭 (3)子供の生活と保育 (4)高齢期の生活と福祉 (5)共生社会と福祉 B 衣食住の生活の自立と設計 (1)食生活と健康 (2)衣生活と健康 (3)住生活と住環境 C 持続可能な消費生活・環境 (1)生活における経済計画 (2)消費行動と意思決定 (3)持続可能なライフスタイルと環境 D ホームプロジェクトと学校家庭クラブ活動 |
中学校道徳 中区分C 主として集団や社会との関わりに関すること
| アクティビティ | 学習指導要領 |
|---|---|
| アクティビティ1 | (9)相互理解、寛容 (11) 公正、公平、社会正義 |
| アクティビティ2 | (13) 勤労 (15) よりよい学校生活、集団生活の充実 |
| アクティビティ3 | (16)郷土の 伝統と文化の尊重、郷土を愛する態度 |
| アクティビティ4 | (12) 社会参画、公共の精神 |
| アクティビティ5 |
(9)相互理解、寛容 (11) 公正、公平、社会正義 (12) 社会参画、公共の 精神 (17) よりよい社会の実現、生命の尊厳 (18)国際理解、国際貢献 (19)生命の尊さ (20)自然愛護 (22)よりよく生きる喜び |
・文部科学省(2017)「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 特別の教科 道徳編」
執筆:近藤牧子(DEAR)・佐藤友紀(DEAR/元高校家庭科教員)
協力:松倉紗野香(中学校英語教員)・吉崎亜由美(中学校・高校社会科教員)・佐藤晴香(DEAR/早稲田大学大学院)
発行:認定NPO法人 開発教育協会