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機関誌『開発教育』最新号-国際協力を通じた学び

特集一覧

開発教育をあと一歩深めたい実践者・研究者のために

開発教育に関する研究論文、実践者からの投稿をまとめた研究誌です。 
会員の方には年に1回、最新号を無料でお届けしています

「開発教育全国研究集会」の報告や、全国の学校や市民活動などでの実践事例報告などのほか、開発教育を推進する上で検討を要するであろうテーマを特集として取りあげています

DEAR設立の1982年から毎年発行されており、開発教育の歩みや歴史を知る貴重な資料としても活用されています。 会員からの実践事例や研究論文などの投稿も随時掲載しています。

第71号への投稿募集

機関誌編集委員会では、第71号(2024年12月発行予定)への会員の皆様からの投稿を募集しています。2024年5月13日(月)必着で、ご応募ください。→ 投稿要領はこちら

第70号の読者アンケートを募集しています

機関誌をお読みいただき、おもしろいと思った記事や、ご感想などをぜひお寄せください。(1分程で回答できます)
お送りいただいたご意見・ご感想は、次号以降の企画・編集に活用させていただきます。→ アンケートの回答はこちら

第70号(2023年)

特集「国際協力を通じた学び」 

開発教育は、イギリスやオランダ、北欧などにおいて、植民地支配をしていた国々に対する国際協力(当時は援助)活動を促す教育として出発し、展開してきた。よって、開発教育における国際協力とは、開発問題解決への重要な一つの方策であり、目的の柱であるといえる。
本誌において国際協力は、過去3回の特集が組まれている。第5号「国際協力と開発教育」(1985年)、第9号「海外協力と開発教育」(1986年12月)そして、その後20年を経て、第52号「国際協力と開発教育」(2005年8月)で特集が組まれている。
その後さらに約20年を経て、本号では、この間の社会情勢や国際協力を取り巻く状況を踏まえながら、国際協力における開発教育の役割を改めて再考し、今後の開発教育に役立てていく道筋や展望を示すことをねらいとして特集を組むこととした。
本特集では、国際協力の送り手、受け手双方から見える現実や課題を踏まえながら、社会を共に変えていく取り組みの変遷を探る。さらに、国際協力に関わるさまざまなアクター(NGO、ユース、学校など)の実践から、国際協力の現状や課題と開発教育の役割についても、考えていきたい。

概要

・発行:開発教育協会(DEAR)
・2023年12月10日発行、B5判142頁
・一般価格 2,200円(本体¥2,000)
・会員価格 1,760円(本体¥1,600)
会員の方には年に1回、最新号を無料でお届けしています

特集「国際協力を通じた学び」

理論編

  • 日本の開発協力の20年-脱「標語」の教育を(松本 悟)
  • 支援活動における国際基準の重要性―支援者からみた国際協力のあり方(木村 万里子)
  • NGOによる国際協力と開発教育(三宅 隆史)

実践編

  • 日本のODAアドボカシーの歩みと視点をたどる-次世代の国際協力・市民社会の担い手への発展的継承に向けて(加藤 良太・神田 浩史)
  • IVY youthの国際協力-学生たちは、国際協力をどう捉えていたのか?(阿部 眞理子)
  • 「絵本を届ける運動」による誰もが参加できる国際協力の取り組み(鈴木 晶子)
  • 子どもとユースの国際協力-参加と意見表明の権利の観点から(島村 由香)
  • 国際協力での実感をもとにした授業づくり~カンボジアでの国際協力の経験から~ (戸沼 雄介)
  • インタビュー 南の島で「実証」~お金はかけず手間をかける、開発を問う生き方(藤野達也さん)(奈良崎 文乃・岩岡由季子)

d-lab2023全体報告/プログラム

  • 全体会:子どもの権利から考える、自分と社会への問い
  • 分科会1:おとなのアクティブ・シティズンシップ~行動する上でのハードルを考える
  • 分科会2:開発教育ファシリテーション 深堀り!
  • 分科会3:ジェンダー平等に向かう教育を考えよう
  • 分科会4:となりのムスリム・ムスリマ
  • 分科会5:どうやったらできる?子どもと大人がいっしょに創るまち ~授業実実践を通して~
  • ワークショップ:子どものけんり なんでやねん!すごろく

投稿論文

  • 他と認め合う児童を育成する各教科の授業づくり ―小学校教育における「国際理解」の現状と課題(石田 まなみ)
  • 地域を通して批判的にSDGsを扱う開発教育の成果と課題-高等学校「地理総合」での授業実践を事例に-(木場 篤)

海外報告

  • 2050年に向けた欧州グローバル教育会議(近藤 牧子)

第69号(2022年)

特集「開発教育 この10年、そして次の10年へ向けて」 

過去をふりかえると、私たちはおよそ10年ごとに国際社会や日本社会に深大な影響を及ぼす出来事を経験してきました。

たとえば、1991年にはソビエト連邦の崩壊によって東西冷戦時代が終焉を迎えました。2001年には米国同時多発テロ(9.11)事件が起こり、「テロとの闘い」が国際社会の最優先課題として浮上しました。2011年の東日本大震災と福島第一原発事故は、「防災・減災」の機運を高め、国内外で原子力政策やエネルギー政策の見直しを迫る契機となりました。そして、2020年に始まるコロナ禍と昨今のロシアによるウクライナ侵攻という問題に、今私たちは直面しています。

近年の国内外の社会の変化を概観しながら、DEARのこれまでの活動をふりかえり、今後10年を展望します。

概要

・発行:開発教育協会(DEAR)
・2022年12月10日発行、B5判142頁
・一般価格 2,000円(税込¥2,200)
・会員価格 1,600円(税込¥1,760)
会員の方には年に1回、最新号を無料でお届けしています

特集「開発教育 この10年、そして次の10年へ向けて」

  • DEARの設立40周年に想う:この10年とこれからの10年(湯本 浩之)
  • 機関誌『開発教育』の10年(近藤 牧子)
  • 「開発教育と開発教育協会に関する会員アンケート」報告(中村 絵乃)
  • 設立40周年を迎えて データでふりかえるDEARの活動
  • 座談会「私と開発教育~この10年、そしてこれから~」
  • 学校での開発教育この10年(小野 行雄)
  • 国際協力の現場から振り返る10年:カカオ生産の児童労働への取り組み事例から(白木 朋子)
  • 多文化共生社会を生きる次世代の子どもたちを育む取り組み ―滋賀での10年の実践を振り返って(大森 容子)
  • DEARとNGOが協働したキャンペーン「世界一大きな授業」と「SDG4教育キャンペーン」(三宅 隆史)
  • ユース座談会「開発教育と出会って、そしてこれから」

d-lab2022報告

  • d-lab2022全体報告/プログラム
  • 全体会:変革に向けた学習をめざして―教育観の転換を考える
  • 分科会1:おとなのアクティブ・シティズンシップと開発教育
  • 分科会2:SDGs, Hop, Step, Jump!~SDGsの学びの深め方を話し合おう!~
  • 分科会3:「沖縄移民」に見る人の移動~送り出し国と、受け入れ国、そして世界に広がる沖縄人のつながりから考える
  • 分科会4:『パーム油のはなし』発行から20年:プランテーション開発の今とこれから
  • 分科会5:開発教育をジェンダーレンズで見直そう
  • 分科会6:開発教育ファシリテーション再考!

活動報告

  • 関西NGO大学「学びの共同体」の30年を振り返る(荒川 共生、栗本 知子、浜本 裕子)

研究会報告 第7回ユネスコ国際成人教育会議参加報告

  • 第1部 第7回ユネスコ国際成人教育会議(CONFINTEAⅦ)概要及び日本の社会教育・国際教育協力への示唆(三宅 隆史、小荒井 理恵)
  • 第2部 CONFINTEAⅦに向けた市民社会からの発信とアクティブ・シティズンシップ(近藤 牧子)
  • 第3部 CONFINTEAⅦに向けたALEプロジェクトチームの取り組み(伊藤 容子、中村 絵乃)

第68号(2021年)

特集「沖縄における開発教育」

沖縄は、第二次世界大戦時に国内最大の地上戦を経験し、多くの命が犠牲になった。現在も在日米軍専用施設面積の7割が集中し、大きな負担を強いられている。琉球王国という独自の文化や言語を育んできた沖縄が、アメリカや日本によって支配、翻弄されてきた歴史、そして基地の問題をめぐり、現在もあらゆる搾取や分断をもたらしている。その構造を、私たちも含めた日本社会は容認しているといえるだろう。

d-lab2020(第38回開発教育全国研究集会)では、沖縄における言語や文化の継承、沖縄戦や沖縄戦後の米軍統治の史実から考える平和のあり方、基地から派生する人権や環境の問題、他地域とも共通する貧困や格差の問題など幅広いテーマと共に、沖縄で広がる助け合いやつながりを柱にした多様な取り組みを通して、全国の参加者と開発のあり方や教育について議論をすることをめざした。

本特集によって、沖縄における開発課題の現状や背景を知り、開発教育の実践を深く理解するとともに、日本の他の地域における開発課題や開発教育を改めて考える視座となることを願っている。

概要

  • 発行:開発教育協会(DEAR)
  • 2022年2月10日発行、B5判150頁
  • 一般価格 2,000円(税込¥2,200)会員価格 1,600円(税込¥1,760)

特集「沖縄における開発教育」

  • 特集にあたって
  • 総論 開発教育を通して沖縄の社会課題に向き合う20年の歩み(玉城直美)
  • 実践編 フォトランゲージで学ぶ「ひめゆり」の戦争体験(古賀徳子)
  • 実践編 蚊媒介性感染症対策におけるシチズンサイエンスの実践と可能性(斉藤美加)
  • 実践編  ワークショップで学ぶ沖縄戦(北上田源、吉田直子)

d-lab2020報告

  • 全体会 「ぬちどぅ宝」を育む学び
  • 分科会1 世界のウチナーンチュ!-移民教材から考えるアイデンティティ
  • 分科会2 伊江島・土地闘争の非暴力の闘い方から、現代の私たちは何が学べるのか
  • 分科会3 SDGsに教育でどう取り組むのか?-気候変動を切り口に考える
  • 分科会4 多文化共生って何だろう?!~ネパール人留学生と一緒に考える~
  • 分科会5 沖縄の自然と観光開発
  • 分科会6 地域ですすめるSDGs~沖縄、北海道、関西から

d-lab2021報告

  • 全体会 この政治をつくっているのは、わたしたち?-「政治を語らないこと」を再生産しないために
  • 分科会1 ジェンダーと開発教育
  • 分科会2 SDGsの授業づくり~心がけで終わらないためには?
  • 分科会3 自然を次世代に受け継ぐには?~沖縄の世界自然遺産から考える
  • 分科会4 SDGsと教育を考える:貧困・格差編
  • 分科会5 ファッションを豊かにサステナブルに
  • 分科会6 人々の暮らしから見るパレスチナの今

投稿論文・活動報告

  • 日本における公害反対住民運動を支えた教育活動-大阪・西淀川の事例を中心に(栗本知子)
  • 映像を活用した「総合的な学習の時間」の授業案の作成と実践~コロナ禍における中学校1年生での試みとして~(安田誠)
  • 高校・総合的な探求の時間の課題研究(探究活動)における実践事例:授業から課外活動へ地域の小学校の取り組み(長尾芙美)

オピニオン

  • 「パンデミックについて語りました」

68号訂正のお詫び

69号投稿のご案内(146頁)の査読・編集日程に一部誤りがありました。お詫びして訂正いたします。正しくは、以下の通りです。

査読・編集の日程(予定)
次号69号の査読・編集の日程は以下の通りです。
2022年5月9日(月) 投稿申込の締切
2022年6月30日(木) 投稿原稿の提出締切
2022年7月上~中旬 投稿原稿の査読
2022年7月下旬   査読結果の通知
2022年8月下旬   採択原稿の最終稿・再提出原稿の締切
2022年9月上~中旬 再提出原稿の再査読
2022年9月下旬   再査読結果の通知
2022年10月~11月  採択原稿の校閲・編集・組版・校正
2022年12月     印刷・発行・納品

第67号(2020年)

特集「気候危機と私たち」

「気候がおかしい」。すでに、私たち一人ひとりに 広がっている体感的な言葉である。そしてそれは、日本各地の「季節のうつろい」に対し、首を傾げる程度のことで済んではいない。

世界中で気候変動を原因とする異常気象が発生し、それに伴う災害は増加している。海面上昇や自然災害によって家や農地を失い、移住を強いられている人は年間2,000万~ 3,000万人にものぼる[1]。水不足や干ばつによる農業生産の減少や食料不足、高潮や沿岸部の洪水、熱波による死亡や疾病など、様々な影響や被害が起きている。海水温度の上昇に伴い、サンゴをはじめとした海域 の生態系や生物多様性への影響も懸念される。

こういった気候変動による影響は、特に途上国の貧困層において深刻である。農業や漁業など自然を生計手段の基礎としている人びとは、災害の影響を受けやすい。災害への備えも不十分で、家屋も脆弱である場合が多い。世界で最も裕福な富裕層の10%が、個人消費による温室効果ガスの約半分(50%)を排出している一方で、世界の50%にあたる貧しい人々の温室効果ガスの排出量は全体の10% 程度である[2]。しかし、途上国の貧困層の多くは、気候変動に適応する能力や資金、技術も十分に得られていないのである。

地球温暖化の大きな要因は、日本を含む先進国の経済活動やエネルギー消費であるにも関わらず、その影響や被害が社会的に弱い立場に置かれている人々に集中している。

社会課題としての気候変動とは、すなわち地球温暖化の問題である。2015年、国連気候変動枠組み条約の締約国会議で採択されたパリ協定では、産業革命期前と比べて地球の平均気温の上昇を2℃未満に抑えることに各国が同意した。しかし、184か国が掲げた二酸化炭素排出量の2030年までの削減目標や対策は、達成に向けて十分と言うにはほど遠く、各国の足並みは揃っていない。パリ協定と同年に採択された、SDGsを含む「持続可能な開発のための2030アジェンダ」でも、気候変動が「我々の時代が直面する最大の課題のひとつ」「今すぐに、変化のための行動を起こさないと間に合わないかもしれない」とされている。それほど緊急性の高い課題として、世界中が認識しているにも関わらず、取り組みが及ばないのである。

日本でも気候の変化によって、自然災害の増加、農業や生物多様性への影響が起きており、その規模は年々拡大している。2019年はこの約120年間で最も平均気温が高い年となった[3]。その一方で、日本は二酸化炭素排出量が世界5位である[4]。国レベルの気候変動に対する対策は十分とは言えず、被害を受けながらも災害に加担しているともいえる。

このような状況を鑑み、2019年9月に開催された各国首脳が地球温暖化対策を議論する「気候行動サミット」で、国連のグテーレス事務総長は、「気候変動」はもはや「気候危機」であり「気候非常事態」だとし、気候変動に対する各国の動きを加速するよう促した。日本でも、2020年6月に閣議決定された『環境白書』には、気候変動の問題が「気候危機」の段階にあることが示された[5]。

では、私たちは、この現状にどれだけの危機感を抱いているであろうか。そして、将来世代にわたって、安心・安全に暮らすことができる社会を創っていくために、何ができるのだろうか。


[1] WBG/World Bank Group(2018)“Groundswell: Preparing for Internal Climate Migration”
[2] Oxfam (2015) “Extreme Carbon Inequality” https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/temp/an_jpn.html
[3] 気象庁「日本の年平均気温の経年変化」
[4] EDMC IEE JAPAN/日本エネルギー経済研究所計量分析ユニット(2020)『エネルギー・経済統計要覧』省エネルギーセンター
[5] 環境省(2020)『環境白書(環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書)』令和2年版

概要

  • 発行:開発教育協会(DEAR)
  • 2020年12月10日発行、B5判108頁
  • 一般価格 2,000円(税込¥2,200)会員価格 1,600円(税込¥1,760)

もくじ

特集「気候危機と私たち」

  • 特集にあたって
  • 理論編 気候変動問題にどう向き合うか(田中治彦)
  • 理論編 気候変動の原因・影響と社会の対応(江守正多)
  • 理論編 気候変動教育の現在(永田佳之)
  • インタビュー 気候変動に立ち向かう“ぼちぼち”の精神~ケンタロ・オノさん~(小野行雄)
  • 実践編 気候危機の時代に私たちができること(高橋英恵、深草亜悠美、吉田明子)
  • 実践編 気候変動対策と持続可能な地域づくり(三田善雄)
  • 実践編  市民性を育む環境教育を目指して(羽角章)

研究会・海外研修報告

  • SDGsを開発教育によって捉える試み(近藤牧子、中村絵乃、松倉紗野香)
  • 開発教育のファシリテーション再考(近藤牧子)
  • 欧州での開発教育およびグローバルシティズンシップ教育の展開(伊藤容子)

投稿論文・活動報告

  • NGOのスタディーツアーによる自己変容(三宅隆史)
  • ナイロビ日本人学校での開発教育実践(加藤英嗣)
  • 開発教育・ESDを取り入れた中学校「家庭科」実践報告(大久保浩美)

第66号(2019年)

特集「教育の画一性を問う」

2019年は、「子どもの権利条約」の採択から30周年にあたる年であり、日本が批准して25年を迎える。国連子どもの権利委員会は、子どもの権利条約の実施状況に対して審査を行っており、2019年2月に総括所見が採択された[1]。日本には「主要な懸念領域および勧告」のうち、緊急に措置をとらなければならない分野として、差別の禁止、子どもの意見の尊重、体罰、家庭環境を奪われた子ども、リプロダクティブヘルスおよび精神保健ならびに少年司法に関する課題があげられている。

日本の子どもたちの教育の問題は、所見にあげられた課題を土台として枚挙にいとまがない。学校でのあらゆる差別をもとにしたいじめ、不登校、外国籍の子どもの不就学、家庭の経済的理由による不進学や学力格差、「待機児童問題」とされる未就学児の不安定な教育環境、特別支援教育における人員配置や環境の不十分な体制などがある。さらには、虐待や性的搾取、体罰といった暴力にさらされ、生活そのものが脅かされている子どもたちがいる。

こうした教育からの排除の問題に取り組むためには、まずはおとなが子どもたちの権利を守ることや尊重することを学び、教育の質的保障を実現していかなければならないが、その道のりは険しい。

本特集は、教育における排除の問題に取り組み、教育の質的保障を達成していくためには、日本の教育制度や文化にある具体的な「画一性」の問題に向き合わなければならないのではないかと考え設定された。厳しい(理不尽な)校則の存在、一斉授業や「整然と成し遂げる」ことを求める学校行事の形態、ナショナルカリキュラムとしての学習指導要領の拘束力、といった自明のように考えられているものを含めた問い直しである。子どもたちにとって世の中は、「自分が」どうあるか、どう思うのか、どうしたいのか、ではなく、「みんなが」どうあるか、どう思うのか、どうしたいかが優先される世界なのではないだろうか。もっと言えば「おとなが」どう思うか、どうしたいかに支配される世界なのではないか。そのような問題意識からこの特集が組まれた。

世界では、グローバル化による苛烈な競争が繰り広げられている。しかし、学校の役割が、一人ひとりの子どもたちのよりよい生き方を支援することよりも、産業社会の求める「生産性のある」人材を育成・管理することを当然としてはならないのではないか。様々な意味で、「型にはめる」教育が子どもたちを追い詰めており、子どもらしさや子どもの権利を奪う原因となっていることをおとなたちは認識する必要があるだろう。 画一性は、日本社会に生きる私たち一人ひとりの内部にも無自覚のうちに植え付けられ、身体化している。例えば、「ふつう、こうだ」という言葉は、私たちが「当たり前」や「常識」といった価値観を共有しようとする際によく使う言葉である。しかし、本来「ふつう」の感覚は人によって異なるはずであり、この断定は自身が持つ「ふつう」の価値観を押し付けているように聞こえる。共有しようとしながら実は、他者に強要しているのである。こうした「ふつう」の価値観の強要が日常生活に溢れ、教育のあらゆる側面で子どもの権利を奪っている状況がある、ということについて考えてみようと思う。


[1] 子どもの権利委員会(2019)「日本の第4回・第5回統合定期報告書に関する総括所見」https://www.nichibenren.or.jp/library/ja/kokusai/humanrights_library/treaty/data/soukatsu_ja.pdf

概要

  • 発行:開発教育協会(DEAR)
  • 2019年12月10日発行、B5判116頁
  • 一般価格 2,000円(税込¥2,200)会員価格 1,600円(税込¥1,760)

もくじ

特集「教育の画一性を問う」

  • 特集にあたって
  • 基調講演+対談:多様性が認められない社会への提言ー人権や教育の視点から(藤本伸樹×榎井縁)
  • 理論編 国連子どもの権利条約30周年(甲斐田万智子)
  • 理論編 特別の教科・道徳と開発教育(高橋寛人)
  • 実践編 外国人が暮らしやすい社会をめざして(小島祥美)
  • 実践編 個がつながる学級づくり(折笠由香里)
  • 実践編  子どもの権利の主体者である「子ども」からのメッセージ(中島早苗)
  • インタビュー 違っている方がいいー「楽しい学校」が育む「世界を変えられる」子どもたち」(世田谷区立桜丘中学校・西郷孝彦校長)

d-lab2019報告

  • 全体会 わたしたちが、社会を変えるチカラになる。
  • 分科会1 あなたのバナナは「いいバナナ」?
  • 分科会2 中国帰国者と多文化共生
  • 分科会3 SDGsの基本理念を考える
  • 分科会4 南米発祥”ビオダンサ”
  • 分科会5 SDGsと授業づくり・地域づくり

投稿論文・活動報告

  • 開発教育における難民問題学習とその課題(鈴木隆弘)
  • 2022年から必修科目となる地理総合を見据えた高校地理Aの授業実践報告(吉崎亜由美)

第65号(2018年)

機関誌「開発教育」65号
機関誌「開発教育」65号

特集「安全・安心に暮らすということ-難民・避難民・先住民族の視点から」

本特集を組むきっかけとなったのが、昨年の本誌の特集「多文化共生社会の未来と開発教育」の編集過程の話し合いの中で着目した「難民問題」である。

「難民の地位に関する条約(1951年)」によると、難民とは、「人種、宗教、国籍もしくは特定の社会的集団の構成員であることまたは政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために、国籍国の外にいる者であって、その国籍国の保護を受けられない者またはそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まない者」と定義される。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、2017年までに、これらの理由で住む場所を追われた人びとの累計は6,850万人であり、うち、難民として認定されているのは2,540万人である。また、2017年だけで新たに、避難を余儀なくされている人びとが1,620万人いる。

難民を生み出す要因には、戦争や紛争、政治体制による思想信条、宗教、性的多様性への弾圧やそれらの相違を背景とする民族間対立などがある。世界のさまざまな地域に移り住む移民の背景にある大きな問題のひとつが難民問題で、多文化共生社会を考える上で避けることのできないテーマである。

しかし、難民問題を突き詰めると、「難民」と呼ばれなくとも、さまざまな理由で住む場所を追われたり、同じ地域にとどまり抑圧のなかで苦しむ人びとがいる。

難民問題に限定するのではなく、同じ土地に住み続けても、移り住んだとしても、さまざまな困難に直面し続ける。「安全・安心に生きる権利を奪われる」という共通の問題が、直接的暴力や構造的暴力によってもたらされているということを改めて問う必要がある。本誌では、特に難民や避難民、先住民族の視点から、安全・安心に暮らすということが、どのように考えられ、どのような具体的な取り組みが行われているのかについて紹介していく。

世界中で住む場所を追われる人びとは、今後ますます増える可能性がある。多くの人びとが安全・安心に生きる権利を奪われている状況について、そしてその原因である社会の構造について「あなたの問題」ではなく、「私たちの問題」として取り組むには、どうしたらいいのだろうか。本書が今後の開発教育の議論や実践、活動につながれば幸いである。 
(「開発教育」65号編集委員会)

概要

  • 発行:開発教育協会(DEAR)
  • 2018年12月10日発行、B5判134頁
  • 一般価格 2,000円(税込¥2,200)会員価格 1,600円(税込¥1,760)

もくじ

特集 安全・安心に暮らすということ―難民・避難民・先住民族の視点から―

  • 特集にあたって
  • 理論編 安全・安心に住む権利を剥奪された難民と「国際社会」の責任 … 米川 正子
  • 理論編 琉球独立運動とは何か-先住民族を縛る抑圧の鎖からの脱却を目指して . … 松島 泰勝
  • 実践編 ワークショップで伝える「難民」 … 安達 三千代・小笠原 直子・阿部 眞理子
  • 実践編 アオテアロア・アイヌモシリ交流プログラム-マオリから学ぶ<先祖>、<過去>、<未来>のつながり、 そして<考え方の脱植民地化> … 伊藤 翠
  • 実践編 福島県いわき市ですすめる「未来づくり業」里見喜生氏に聞く … 小野 行雄 .
  • インタビュー 「故郷から逃れたひと」として生きる―オーストラリア・日本の事例から … 野口 扶美子・小口 瑛子・中村 絵乃
  • コラム ロヒンギャ難民の子どもの聞き取り調査報告 … 奈良崎 文乃

d-lab2018(第36回開発教育全国研究集会)報告

  • 全体報告
  • プログラム
  • パネルトークシンポジウム 世界をケアするために~グローバリゼーションの隘路を超えて
  • 課題別分科会1 難民になること・難民として生きること
  • 課題別分科会2 18歳成人・18歳選挙権と市民教育の課題
  • 課題別分科会3 地域における開発教育~「持続可能な地域づくり」にむけて
  • 課題別分科会4 スマホ・電気自動車から考える持続可能な開発
  • 課題別分科会5 SDGsの授業をやってみた
  • 課題別分科会6 子どもの貧困への取り組み―こども食堂の事例から

投稿論文

  • 社会参加概念の捉え直しから再考する開発教育―「学びを生み出す社会参加プロセス」に着目して … 林 加奈子
  • 国際協力に対する子どもの自己効力感の変容とその要因―「世界一大きな授業」を事例として … 三宅 隆史
  • セントルシアにおけるビデオレター交流を通した異文化理解教育の実践 … 神澤 律子
  • 中国出身の留学生による開発教育に向けた授業案―北海道占冠村の小学校における実践 … 劉 穎・高橋 界・山中 康裕

第64号(2017年)

機関誌 第64号
機関誌 第64号

特集「多文化共生社会の未来と開発教育」

「多文化共生」という言葉は、在日コリアン、いわゆる「オールドカマー・オールドタイマー」が多く暮らしてきた神奈川県川崎市で生まれたといわれるが、その背景には、「マイノリティ」として生きることを強いられ差別されてきた人々の苦しみがあった。しかし、「ニューカマー」の増加に伴う「多文化共生」の広がりのなかで、そうした歴史的・構造的差別の問題は次第に覆い隠されたようにみえる。

外国人・移民に対する期待と不安から生ずる排除の動きも、マジョリティによるマイノリティ排除という構造的差別にほかならないが、「多文化共生」という言葉は、しばしば権力関係を不問にしたうえで、表面的異文化理解を促すためだけに、またはマジョリティによる「上から目線」のマイノリティ受容のためだけに用いられてしまいかねない。

マジョリティによるマイノリティ排除という構造的差別は、もちろん外国人だけの問題ではない。「マジョリティである日本人」の立場にある人々も、ほかの局面(例えば障がいや病気、収入、学歴、セクシャリティ等によって)、また将来のある時点でマイノリティになることがあるし、多様性を認めず同質性を強要する社会では明らかなマイノリティの立場にない者でも排除されることがある。したがって、排除や差別の問題を批判的にとらえ社会の包摂性を高めていくことは、全体の生きやすさにつながるはずである。

本特集では、日本が今後、より多くの外国人・移民を受入れていく中でどのような将来を目指すのか、改めて「多文化共生社会」のあり方を構想し、そのための教育の方向性を示すことを目指した。

「外国人」との軋轢や差別が政治的に増幅されかねない時代、一方で身近に「外国人」が増えていく時代に、わたしたちはどう共に生きる社会を築いていくことができるのか、教育という文脈においては何を考えていくべきか。マイノリティ支援としての多文化共生に留まらず、マジョリティの側が無自覚に持つ特権や、そこから生ずる排除の構造にどのようにして気づき、変えていけるのか。本書が今後の議論と実践につながることを期待する。 
(「開発教育」64号編集委員会)

概要

  • 発行:開発教育協会(DEAR)
  • 2017年12月1日発行、B5判148頁
  • 一般価格 2,000円(税込¥2,200)会員価格 1,600円(税込¥1,760)

特集 多文化共生社会の未来と開発教育

  • 特集にあたって
  • 理論編 日本における多文化共生社会の構想-「ちがい」と「同じ」という2つの視点 … 鈴木 江理子
  • 理論編 包括的な平和教育の視点に基づく多文化共生教育の可能性 … 孫 美幸
  • 理論編 いじめ・レイシズムを乗り越える教育-多文化共生社会への水路 … 渡辺 雅之
  • 実践編 高校での多文化共生と市民を育てる開発教育 … 角田 仁
  • 実践編 多文化共生に関する授業実践-「多様性」「共通性」「双方向性」の視点から … 渡辺 智美
  • 実践編 多文化共生社会のための“ばづくり・ひとづくり”―とよなか国際交流協会”unlearn”シリーズの取り組み … 榎井 縁
  • 実践編 Minamiこども教室~子どもを支えることは親を支えること―多文化共生のプラットフォームをめざして … 金 光敏

全国研究集会報告

  • 全体報告
  • プログラム
  • パネルトーク グローバル時代の「豊かさ」を考える
  • 課題別分科会1 「多文化共生」と日本語教育
  • 課題別分科会2 どうする!?オリパラ
  • 課題別分科会3 SDGsを教室へ
  • 課題別分科会4 社会づくりとアクション
  • フィールドワーク 東京にも「公害」があるの?

投稿論文

  • 開発教育における貧困の捉え方再考―アマルティア・センのケイパビリティ論を手がかりに― … 青沼 由衣
  • 地球規模課題についてのキャンペーン「世界一大きな授業」の評価結果 … 三宅 隆史
  • スタディツアーにおける学びをアクションへ-ブータン・スタディツアーを事例に- … 大塚 圭

NGOの開発教育実態調査

研究会報告

  • 「グローバル化と開発問題」研究会 … 湯本 浩之・西 あい
  • 開発教育アーカイブ研究会-DEAR設立に至る開発教育のルーツを探るⅡ … 湯本 浩之・田中 治彦・近藤 牧子

設立35周年を迎えて

  • 5年間のDEARの活動をふりかえる

第63号(2016年)

機関誌 第63号
機関誌 第63号

特集「女性をとりまく問題と開発教育」

ジェンダーという言葉は一般的とはいえないにしても、ずいぶんと耳慣れてきたことと思う。ジェンダー研究は、文化的、社会的に男女の性別役割が形作られていくことを問題として進められ、近年では男女隔てなくワークライフバランスを保障する社会を標榜する動きもある。しかし、そのおおもとは、1960年代のフェミニズム運動にみられる女性差別からの解放運動と、それを土台とする女性学の蓄積にあることは忘れてはならない。それは、既存の世界観が男性の視点にとらわれたものであることを批判し、女性の視点から、女性解放のために構築された学問であった。では、そうした女性学の視点はもはや“時代おくれ”なのであろうか。

2016年4月から「女性の職業生活における活躍推進に関する法(女性活躍推進法)」が10年間の時限法として施行された。そこでは「女性の活躍」「女性のキャリア」という言葉がもてはやされるが、これは本当に女性たちの追い風となるのだろうか。ここでの「女性の活躍」とは一体どのようなことなのか、注意が必要である。

1986年に施行された「男女雇用機会均等法」は、職場における男女の差別を禁止し、募集、採用、昇進などの面で男女とも平等に扱うことを定めた法律である。それでも未だに女性の管理的職業従事者比率は国際比較において極めて低く、非正規雇用の労働者数は女性の方が多い。内閣府男女共同参画局『男女平等参画白書 平成22年度版』(第1部第5章)では、「女性は相対的に低収入で不安定な非正規雇用につきやすい就業構造がある」「若い時期からの非正規雇用の積み重ねの結果として女性の年金水準等は低く、高齢期の経済的基盤が弱い」「女性に対する暴力は女性の自尊心や心身を傷つけ、自立にむけた就業や社会参加を一層困難なものにしている」と、女性が置かれる状況の問題を報告している。一方で、女性たちが置かれた状況は一様ではないので、当然、社会構造から個々が受ける影響も変わってくる。貧困や暴力にさらされながら生き抜いている女性もいれば、経済的社会的な条件に恵まれたり、困難を自分で打開して「男性並み」に「活躍」する女性、出産などのライフイベントを契機に「男性並み」には働けない女性もいる。こうして女性をとりまく問題は、結局「自己責任」や「自己の選択」の問題として片づけられてしまうことが多い。

「女性の活躍」支援のための法整備は重要ではあるが、女性が差別的な扱いを受けたり、不安定な状況に置かれやすい社会制度や社会構造が放置されたままでは、「活躍」の土俵に乗ることのできる女性は限られてくるであろう。また同時に、社会が脈々と育む性別役割の価値規範に切り込まなければ、教育を受ける間口にも、就業間口にも、家族形成の間口にも、ジェンダー・バイアスに基づく差別構造が残り続けるだろう。ジェンダーに関わる価値規範は社会のそこここに埋め込まれており、日々の暮らしの中で、家庭や学校、メディアなどを通して、個々人の中に文化的に育まれ、男女を問わず私たちの中に無意識にしみついている。家庭や学校などでの教育機能によって差別文化が再生産されていることも忘れてはならない。

本特集では、上述の問題意識のもと、4つの理論原稿、2つの実践原稿を掲載している。これまで開発教育では、取り扱うべき地球的課題の一つとしてジェンダーに取り組んできた。それは多くの場合「途上国での女性の問題」であり、「私たちの女性問題」ではなかった。しかしそのような向き合い方では、なぜ貧困や戦争という状況で女性が軽視され、暴力や抑圧を受けるのか、その本質と向き合ったとはいえないのではないか。本特集はそのような反省的な意味も込めて、今後開発教育でジェンダーを取り上げる際の基礎的な話題提供となることを期待したい。 
(「開発教育」63号編集委員会)

概要

  • 発行:開発教育協会(DEAR)
  • 2016年12月1日発行、B5判144頁
  • 一般価格 2,000円(税込¥2,200)会員価格 1,600円(税込¥1,760)

特集 女性をとりまく問題と開発教育

  • 特集にあたって
  • 座談会 「ジェンダー・女性・開発教育」
  • 理論編 「ジェンダー主流化」に向けて-世界の変化・日本の状況 … 三輪 敦子
  • 理論編 女性の学習の総合的なあゆみ-拠点施設「男女共同参画センター」の歴史的変遷から … 福田 紀子
  • 理論編 日本の「教育」を支えるジェンダー構造 … 松葉口 玲子
  • 理論編 見えづらい「女性の貧困」-もやいの活動から … 大西 連
  • 実践編 ジェンダー版「ちがいのちがい」-気づき、学び合い、自分を知る教材 … 林 香織
  • 実践編 その人らしい学びを支える教育実践をめざして-大田区民大学における女性問題講座から … 近藤 牧子
  • コラム 女性のエンパワーメントとウェルネス教育 … 井上 則子
  • コラム 「ジェンダー・ハウス」で地域社会を分析しよう … 奈良崎 文乃

実践事例報告

  • 新設教科「グローバルシティズンシップ科」をとおして考える教師の変容 … 松倉 紗野香
  • 公害地域の「今」を伝えるスタディツアーが公害教育にもたらしたもの … 林 美帆

国際協力と開発教育

  • 持続可能な開発目標(SDGs)における開発教育の役割 … 上條 直美

全国研究集会報告

  • 全体報告
  • プログラム
  • シンポジウム 公正で持続可能な経済は本当に可能か?!
  • 課題別分科会1 教師が変わると学校が変わる?!
  • 課題別分科会2 ソーシャルアクションと開発教育
  • 課題別分科会3 アクティブラーニングと時事問題
  • 課題別分科会4 人々の力が社会を変えた
  • フィールドワーク 「難民問題」を自分ゴトとして捉える

投稿論文

  • 開発教育におけるファシリテーターとしての教師とは―意識変容の学習を支援するために … 山中 信幸
  • 異なる文化背景をもつ社会における相互理解―ケニアの子どもたちにおけるケニア・中国・日本のイメージ調査を通して … 山本 康夫

図書紹介

  • 『社会科 アクティブ・ラーニングへの挑戦-社会参画をめざす参加型学習』 … 小野 行雄

第62号(2015年)

2015年8月は太平洋戦争終結後70年の節目である。今年に入り、各所・各紙で戦後70年の企画が多く開催されてきた。本特集「『平和』に向き合う開発教育」では、「この70年間、日本は一貫して平和だったのだろうか」という問いに基づきたいと考えている。

機関誌 第62号
機関誌 第62号

特集「『平和』に向き合う開発教育」

ノルウェーの平和学者ヨハン・ガルトゥング氏は、1969年に発表した論文の中で、戦争など人が人に直接危害を加える「直接的暴力」に対し、飢餓や貧困、差別や他の人権侵害なども人々を苦しめ死に至らせるという点で暴力だと考え、こうした問題を「構造的暴力」と名付けた。そして、構造的暴力のない状態を「積極的平和(Positive Peace)」と呼んだ。貧困問題、南北問題、人権侵害、環境問題といった地球規模の諸問題の構造を理解し解決しようとする開発教育にとって、この積極的平和こそが目指す平和となるだろう。それでは、構造的暴力という視点でこの間の「平和」な日本をとらえ、「平和」に向き合う開発教育のあり方を問い直すと、どのようなことが見えてくるだろうか。

本特集を編集している2015年夏から秋にかけて起きた現実は、世論も賛否が分かれ、かつ戦後の日本の「平和」問題に直接的に関わるできごとであった。特に安保法制とその強行採決、辺野古への米軍基地移設問題をめぐる翁長沖縄県知事による建設承認の取り消しとそれに対する政府の強硬姿勢、原発再稼働は、これからの日本の平和の方向の舵を大きく切るような出来事であり、その行く末に私たちは否が応でも“参加”していくことになる。

開発教育が、構造的暴力をなくし積極的平和を実現することを目指すなら、その平和に向き合うあり方とは、社会の現状が構造的暴力の存在する不公正なものであることを認識し、それに「仕方がない」と目をつぶることなく、その不公正をなくすために社会構造を変えようとすることだろう。それは決して、軍事力や経済力の強化により「平和」を作ろうとするものではないはずである。

現在の「平和」が格差と抑圧の構造の上に成り立ったものであると捉え、開発教育の立場から「本当の平和」のあり方を考えたいという点が本特集を組む動機であった。戦後70年を契機として、私たち自身の向き合い方もさることながら、次世代に平和をつくる文化や礎をどのように手渡して行くかを考える機会となればと考えている。
(「開発教育」62号編集委員会)

概要

  • 発行:開発教育協会(DEAR)
  • 2015年12月1日発行、B5判160頁
  • 一般価格 2,000円(税込¥2,200)会員価格 1,600円(税込¥1,760)

特集 「平和」に向き合う開発教育

  • 特集にあたって
  • 理論編 「平和教育と開発教育の協同の可能性」 … 竹内 久顕
  • 理論編 「核と原発と開発教育―非核化に向けて」 … 岩﨑 裕保
  • 理論編 「現代国際社会の写し鏡としての「イスラミック・ステイト」(IS)―「ミレニアム開発目標」14年目に登場した「怪物」に市民社会はどう応えるか」 … 稲場 雅紀
  • 実践編 「マーシャルと日本―「核と温暖化」を見つめて」 … 金山 顕子
  • 実践編 「沖縄から市民性を育む「平和教育」を考える―歴史的思考力を育み、持続可能な社会の実現を展望させる授業実践を通して」 … 我如古 香奈子
  • 実践編 「ISS・過激派組織による人質事件の授業―少し難しいことに挑戦する」 … 辻本 昭彦
  • インタビュー 「『東京の路上で』平和に向き合うために―加藤直樹氏に聞く」 … 斎藤 聖

実践事例報告

  • 大豆の学習―調べて、食べて、考えた … 島田 晶子
  • 模擬選挙を使った授業実践 … 春日 雅博

全国研究集会報告

  • 全体報告
  • プログラム
  • パネルトーク 市民がつくりだす社会へ
  • 課題別分科会1 たたかう平和教育
  • 課題別分科会2 民族共生を考える
  • 課題別分科会3 地域資源を活用したまちづくり
  • 課題別分科会4 18歳選挙権と市民教育
  • 課題別分科会5 ユースの力を社会に発信
  • 課題別分科会6 市民性を育む開発教育教材づくり

投稿論文

  • YMCA地球市民育成プロジェクトにおける参加者の学び … 橋崎 頼子・佐々木 美都

報告

  • 自己評価・ふりかえり研究会 … 西 あい
  • 開発教育の実践者によるふりかえり―学習者の学びの概念の再検討をふまえて … 南雲 勇多
  • 開発教育アーカイブ研究会報告―DEAR設立に至る開発教育のルーツを探る … 田中 治彦
  • 世界教育フォーラム報告―質の高い教育をすべての人に … 中村 絵乃

第61号(2014年)

機関誌 第61号
機関誌 第61号

特集「政治を語る市民社会」

本特集では、開発教育が蓄積してきた実践における、政策決定や意思決定の実現をめざす“政治性”に焦点をあてたいと考えた。市民教育やシティズンシップという言葉は、『開発教育 第55号』(明石書店、2008年)の特集「開発教育と市民性」でもとりあげており、市民教育は、日本においても英国の事例をモデルとしながら紹介されてきている。しかし、教育における政治とは何か、開発教育が取り組んできた政治的なるものとは何か、ということをもう少し突き詰めてみたいと編集委員で話し合った。

それはチャレンジングな試みであり、本誌で明確に提示しきれたとはいえないかもしれないが、編集委員はもとより執筆者の方々、読者の方々と書きながら、作りながら、読みながら考えていく途中経過として位置づけたい。

理論編として、佐渡友哲さんに「グローバル時代における政治的価値と地球市民の役割」をご寄稿いただき、地球市民意識をもつことに「政治的価値」をもたせることの意義を述べていただいた。「政治的価値」の再認識をアドボカシー(政策提言)と教育に活かし、運動につなげて公正な地球社会に向けた変革を実現することについての考察をいただいている。

湯本浩之さんには「『政治化する教育』を問う」をテーマにご寄稿いただいた。中央官庁による社会形成・社会参加に関する取り組みを整理し、政策としての教育は政治化しているにも関わらず子どもたちには政治的意見を表明する機会がないのではないかという問題提起をいただいている。

そして、近藤牧子さんからは「政治の話をする『ちから』をつける開発教育」をご寄稿いただいた。政治の話をすることが“不穏”なことだと思わずに正々堂々と語れるようになるためには、政治に関する対話の仕方を身につけていくことが求められ、そのために開発教育は貢献できる、とご提示いただいた。そして実践者には、多様な論を披露しあうだけではなく、意見を交わして議論していける学習空間をつくる「ちから」も求められていくこともご指摘いただいている。

さらに、社会活動家である湯浅誠さんへの編集委員によるインタビューが実現した。湯浅さんは、価値観の異なる人たちに対して自分たちのメッセージを伝えることの重要性をお話しくださり、政治的な話をするためには、意見や立場が異なりながら「違う」ということを話す作法が必要である、というご意見をくださった。

政治を考えることは日々の生活を考えること、そして未来のあり方を考えることである。イデオロギーを安易に用いる一方的な語りではなく、「なぜそう思うか」を大切にしながら自分たちの社会と未来を考える政治を互いに語っていく市民社会づくりに向けた開発教育の役割と課題について、議論の素材を提示できればと思っている。
(「開発教育」61号編集委員会)

概要

  • 発行:開発教育協会(DEAR)
  • 2014年12月1日発行、B5判152頁
  • 一般価格 2,000円(税込¥2,200)会員価格 1,600円(税込¥1,760)

特集 政治を語る市民社会

  • 特集にあたって
  • 座談会「政治を語る市民社会ー政治にかかわる開発教育の実践」
  • グローバル時代における政治的価値と地球市民の役割 … 佐渡友 哲
  • 「政治化する教育」を問う-シティズンシップ教育の今日的な意味と開発教育への示唆 … 湯本 浩之
  • 政治の話をする「ちから」をつける開発教育 … 近藤 牧子
  • “生の政治”を通して主権者意識を育む-模擬選挙の可能 … 林 大介
  • 「社会科2.0」としての「マニフェスト・リクエスト」ワークショップ … 風巻 浩
  • 沖縄と東京の架け橋となるために-沖縄を考える学生ネットワークの活動を通して … 志良堂 かなさ
  • 世界を変える女の子の力-国際NGOの活動現場から … 奈良崎 文乃
  • 「横につきあってください」を、湯浅誠氏に聞く … 斎藤 聖

実践事例報告

  • 先住民族の歴史を共有する教材「シコツの500年」実践報告 … 渡邉 圭
  • 外国につながる子どもたちとともにヨコハマハギハッキョの実践から … 上庄 あかね

オピニオン

  • 後退するシティズンシップ‐ネオリベラリズムのなかの人権・市民意識 … 阿久澤 麻理子

全国研究集会報告

  • 全体報告
  • プログラム
  • シンポジウム‐「100人村」から、今、考える持続可能な開発
  • 課題別分科会1「サスティナブルな学校づくりへ」
  • 課題別分科会2「世界と私と未来をつなぐ授業づくり」
  • 課題別分科会3「開発と障害」
  • 課題別分科会5「開発教育・ESD実践者の学びをふりかえる」
  • 課題別分科会6「知り、考え、本当に行動できてる?」

投稿論文

  • 主体性と学ぶ意欲を育てるグローバル学習 … 石森 広美
  • 開発教育教材の展開と深化『コビール君ちの家族マップ』の開発を通して … 東 宏乃・金馬 国晴

図書紹介

  • 『環境教育と開発教育 実践的統一への展望 ポスト2015のESDへ』 … 鈴木 隆弘

第60号(2013年)

機関誌 第60号
機関誌 第60号

特集「学びとしてのフェアトレード」

近年、「フェアトレード」が中学や高校の教科書で取り上げられるようになり、その認知度は急速に高まっている。それゆえ教育現場でも、開発教育は知らないがフェアトレードは知っているという人は少なくないだろう。

これまで、開発教育にとってフェアトレードは、公正な社会づくり(または地球的課題の解決)のための一手段として位置づけられ、教育内容の一部を占めてきた。例えば、日本における開発教育はその原点とも言える大津和子さんの「一本のバナナから」の授業に代表されるように、当初からバナナやエビなどの身近なモノを 通じて世界と自分たちの暮らしとのつながりを考える教育を展開してきた。従って、それが、開発途上国を犠牲にしないオルタナティブ(代替)なモノを提示するフェアトレードにつながることは至極当然であったと言える。

また、貿易ゲームに象徴されるように、開発教育では、世界の貧困や経済格差の原因を国際的な貿易構造にあると考えて、貿易のあり方を問い直してきた。だからこそ「公正な貿易」としてのフェアトレードに注目してきたとも考えられる。さらに、課題解決のための行動を重視する開発教育では、フェアトレード商品を購入したり、他の人に紹介したりといった具体的な行動につながりやすいことからもフェアトレードに関する学びを積極的に取り入れてきた。

しかしながら、今日、フェアトレードの認知度があがり、開発教育と切り離されたところでフェアトレードそのものが学習の対象として扱われるようになってきた。その中には、フェアトレードを十分に検討することなく単によい活動として紹介したり、「フェアトレード商品を買いましょう」と結論づけたりする実践も見受けられる。このことは開発教育実践者にもあてはまる。

そこで本特集では、同じく「地球社会の公正」を目標として掲げる開発教育の視点からあらためてフェアトレードを捉えなおし、フェアトレード学習において留意すべき点は何か、どのような展開が可能なのかを様々な事例から考え、「学びとしてのフェアトレード」が持っている可能性と実践上の課題を提示したい。

今回の特集にあたって焦点をあてたのは、第一にフェアトレード学習の消費者教育としての側面であり、第二にコミュニティ活動への展開である。本年6月に公益財団法人消費者教育センターから発行された『先生のための消費者市民教育ガイド』ではフェアトレードに関する記述が数頁にわたっており、「日本でフェアトレー ド商品があまり売れないのはなぜ?」といったテーマでのウェビング法が実践例としてあげられるなど、突っ込んだ内容となっている。フェアトレードは今、開発教育や国際理解教育としてだけでなく、市民の消費行動を考える材料として注目されているのである。

概要

  • 発行:開発教育協会(DEAR)
  • 2013年12月1日発行、B5判168頁
  • 一般価格 2,000円(税込¥2,200)会員価格 1,600円(税込¥1,760)

特集 学びとしてのフェアトレード

  • 特集にあたって
  • 座談会「開発教育とフェアトレードー公正な社会をつくるために
  • フェアトレードの教育効果-フェアトレード学習は“倫理的消費者”を生み出せるか
    … 大野敦
  • コミュニティ活動としてのフェアトレード … 長坂寿久
  • 「公平な貿易のあり方」について考える授業実践-フェアトレードとは何か
    … 山中信幸
  • フェアトレードを学びフェアトレードで学ぶ-教材『コーヒーモノガタリ』の実践から
    … 織田雪江
  • 大学生によるフェアトレードの実践… 伊藤 望
  • 名古屋をフェアトレード・タウンに! … 土井ゆきこ
  • 地域社会再建としての生業支援-生産者と消費者の交流 … 井上礼子
  • 生産者と消費者をつなぐフェアトレード … 川村菜海
  • 開発教育×フェアトレードの実践-英国の事例から考える … 浜田祐子
  • 貿易ゲーム再考-グローバル資本主義時代における実践の意味と課題 … 湯本 浩之
  • 関西フェアトレード最新事情 … 小吹岳志
  • シャプラニールが考える消費者教育としてのフェアトレード … 勝井裕美

実践事例報告

  • 毎日が開発教育-定時制高校の現場から … 高野剛彦
  • 小学校における多言語活動の教材開発と実践-多言語とことばをめぐる問題を題材に … 秦さやか

国際協力と開発教育

  • 私たちの住む世界を左右するポスト2015開発アジェンダと市民社会の関わり … 堀江由美子・山田太雲

全研報告

  • 全体報告
  • プログラム
  • 基調講演「デンマークの教育とPBL」
  • 課題別分科会1「開発教育/ESDへのPBLの可能性」
  • 課題別分科会2「『本物』を扱う子ども主体の授業づくり」
  • 課題別分科会3「開発教育の今後」
  • フィールドスタディⅠ「持続可能な暮らし・農・エネルギー」
  • フィールドスタディⅡ「呉羽丘陵の里山を活用した人づくり、ふるさとづくり」

オピニオンコーナー

  • 障害の問題は開発の問題-開発教育に求めること … 福田能文/インタビュアー:斎藤聖・西あい

投稿論文

  • 震災からの学びをグローバル学習に活かす視点-高校における多角的アプローチ … 石森広美
  • 参加型の平和教育教材開発の試み-ヒロシマの課題に向き合うESD教材づくり … 中須賀裕幸

図書紹介

  • 『環境教育学~社会的公正と存在の豊かさを求めて』 … 田中治彦

第59号(2012年)

機関誌 第59号
機関誌 第59号

特集「開発教育 この10年 そして未来へ向けて」

開発教育協会(DEAR)は、2012年12月で設立30周年を迎えます。

今年度30周年を迎えることと、そして本号より研究誌から機関誌に形態を変えることをきっかけに、開発教育のこれまで、特に20周年以降の10年の到達点と、これからの課題や展望を共有する特集を企画しました。

2002年以降の10年で、教育や開発を取り巻く状況は大きく変化しています。世界的な経済・金融危機や気候変動により、貧富の格差の拡大や環境破壊がより深刻になっています。日本国内でも、雇用問題や貧困・格差の問題が注目されています。教育政策は知識偏重に傾き、子どもたちを取り巻く状況にも変化が起きています。

そのような中、DEARは国内外の課題を見据えながら、教育を通して、共に生きる公正な地球社会をつくるための活動を全国の会員とともに実施してきました。

本特集では、様々な視点からこの10年を振り返り、今後の展望を描くとともに、DEARの取組の整理や分析、課題提起を行いました。会員や読者の皆様とともに、実践や活動を振り返り、これからの開発教育の課題や役割、持続可能な社会を構想していく意識を共有したいと思います。

概要

  • 発行:開発教育協会(DEAR)
  • 2012年12月1日発行、B5判160頁
  • 一般価格 2,000円(税込¥2,200)会員価格 1,600円(税込¥1,760)

特集 開発教育 この10年 そして未来へ向けて

  • 座談会「開発教育 この10年、そして未来へ向けて」
  • 設立30周年を迎えて データでふりかえるDEARの活動
  • 「開発教育と開発教育協会に関する会員アンケート」報告 … 近藤牧子
  • 地域に向き合う開発教育 … 上條直美・西あい
  • 『世界がもし100人の村だったら』から10年~教材の再考 … 磯野昌子・上條直美
  • 平楽中学校における「国際学習」を振り返って … 斎藤聖
  • みんなで取り組む開発教育~小学校の総合学習で開発教育を実践して
    … 丸山まり子
  • ポストMDGsの国際開発の課題と開発教育の役割 … 三宅隆史
  • 子どもの権利の10年とこれから~子どもにやさしい社会をつくるために … 甲斐田万智子

以下の誤りがありましたので、訂正してお詫び申し上げます。

33頁 1段落 1行目
誤)『世界がもし100人の村だったら』の日本語翻訳がマガジンハウスから出版されたのは
正)『世界がもし100人の村だったら』(マガジンハウス刊、池田香代子再話)が出版されたのは

実践事例報告

  • 震災・原発をテーマにした授業2011~学校設定科目「地球の未来」の場合 … 三宅典子
  • 世界一大きな授業2012~ネットワークの力を活かした国際協力NGOによる開発教育の試み … 奈良崎文乃

全研報告

  • 全体報告
  • 課題別分科会1「エネルギーの授業をつくろう」
  • 課題別分科会2「震災後の学び~授業づくりの視点と課題」
  • 課題別分科会3「開発教育の過去・現在・未来-DEARの30周年を迎えて」
  • 課題別分科会4「やってみよう、ミュージカル♪」
  • フィールドスタディ1「山谷フィールドスタディ」
  • フィールドスタディ2「持続可能な開発と地域の取り組み」

オピニオンコーナー

  • 新しい世界観をつくる開発教育 … 小野行雄/インタビュアー:ヘッセ杉山ナオコ

投稿論文

  • 1960年~70年代の国際理解教育と南北問題 … 小瑶史朗

海外報告

  • 開発教育サマースクールに参加して … 八木亜紀子
  • 開発教育サマースクール「意思決定者・政策決定者へのアドボカシー」報告 … 西あい
  • 「第2回欧州グローバル教育会議」報告~欧州におけるグローバル教育の10年 … 中村絵乃

図書紹介

  • 『グローバル・ティーチャーの理論と実践:英国の大学とNGOによる教員養成と開発教育の試み』 … 湯本浩之
  • 『アジア・太平洋地域のESD<持続可能な開発のための教育>の新展開』 … 田中治彦

ご注文方法

  • 一般価格2,000円(税込2,200円)、図書館価格¥4,000(税込¥4,400) 、会員価格1,600円(税込1,760円)です。
  • DEARの本は直販のみです。書店などには置いておりませんので(取次を通していません)、 DEARまでウェブ、ファクスにて直接ご注文ください。 詳しくはこちらのページをご参照ください。
  • DEAR事務所(東京都文京区)で直接ご購入いただくことも可能です。来所の際は事前にご連絡ください。