DEAR 開発教育協会

DEARについて tags

2023年度年次報告(事業・決算報告)

2023年度(2023.4-2024.3)

各報告書はPDFでお読みいただけます。

単年度収支の概要

2023年度の活動を振り返って

社会の大きな動きの中で

2023年は、世界的に観測史上最も暑い年であったといわれました。暑いだけでなく、国内外で異常気象や自然災害が頻発しました。日本はこの 50 年間で多 くの資源を消費し、気候変動に大きな責任を持っています。しかし、日本の気候変動対策や人々の問題意 識は十分とは言えず、深刻な被害は、途上国や立場が弱い人々に集中しています。

世界を見ると、各地で紛争や対立が激化しています。 たとえば、ウクライナやパレスチナにおける攻撃には、 世界中で非難の声が挙がっているにもかかわらず、国際社会が止められない状況になっています。一方で、 国内外で市民による連帯の意識は高まっています。

多くの地球的課題を、その背景や構造、歴史をきちんと捉えて、他者と共に学び、より公正な社会づくりに 参加していくことを、開発教育は重視しています。 国内においても貧困や経済格差、教育や生活、医療や福祉の保障は大きな課題になっています。

国内においても貧困や経済格差、教育や生活、医療や福祉の保障は大きな課題になっています。また、移民や難民として来日する外国籍の人々への人権侵害も深刻です。

これまで通りに経済や効率を優先し、環境や資源、労働力の搾取や、競争を強化し格差が拡大する社会ではなく、人権が尊重され、多様性が保障され、資源の公正な分配と対話を通して支えあう、持続可能な社会づくりが求められています。

さらに、子どもたちだけでなく、私たち大人自身も主体的な学習者であり続けられるように、教育を捉えなおしていく必要があります。

今年度は、「中期方針・重点事業」に基づき、各種事業を実施しました。昨年度に引き続き、COVID-19感染拡大防止のために、職員は在宅勤務を中心にしながらも、徐々に、対面での事業も始め、講師派遣やd-lab、教材体験フェスタなどは、対面で実施しました。

中期計画の実施報告

2023 年度は「2022-26 年度 中期重点方針・中期 重点事業」2年目の年となりました。

方針1.開発課題をわたしたちの課題として捉え考える 市民性・公共性の追求方針2.教育者中心から学習者中心の教育へ教育観の 転換に向かう

中期重点事業
1. 開発課題(ジェンダー・貧困など)と開発教育 に関する研究会の実施
2. 成人教育。社会教育としての開発教育の推進
3. 開発教育ファシリテーション(対話)の再考・ 議論の促進
4. 教育政策に関する調査・ネットワークづくり
5. 組織基盤強化

重点事業1では、「開発」の意味や望ましいあり方を 問い、多様で複雑な「開発」課題を認識し、それらの理解を深めることや、課題達成に向けた行動を促していくために、「市民性」や「公共性」に関する議論を広く提案していくことを目指しました。 SDGs研究会では、「DEAR カレッジ」において、開発課題をテーマとして学ぶのではなく、自らの課題として捉え、様々な意見の人と、「市民性」や「公共性」の視点で対話をする場の設定を試みました。 ジェンダー研究会では、教育のあらゆる側面についてジェンダー視点で見直すことをめざし、ヒント集の作成に取りくみました。

重点事業2では、成人教育・社会教育の観点を持っ た開発教育活動の実践のあり方を広く共有することや、 大人が学び続けられる環境づくりや教育保障と、人々 が市民的な力を得ることで社会が変容していくような 教育の議論・提案をし、地域における実践共有や、政 策提案をするネットワークを構築することを目指しまし た。 ALE プロジェクトでは、全国の成人教育・社会教育 の好事例を収集し、意見交換を行ったうえで、『おとな 事業の概要 3 のアクティブ・シティズンシップハンドブック』を作成しま した。

重点事業3では、参加体験型の学習・教育方法の普及推進にとどまるのではなく、管理・伝達・誘導型の教育観を問い直し、学習観を持つことや、子ども若者 と大人の主体的な学習のあり方と、それを支える教育や学校のあり方や役割を、広く議論し共有していくことを目指しました。 開発教育ファシリテーション講座では、過去3回の「ファシリテーション講座」を振り返り、「開発教育ファシリテーション9つの要素」を作成し、d-lab分科会でも議論しました。

重点事業4では、開発教育実践者や市民組織と協力して、国内の教育政策への提案を行うことや、全国の開発教育実践者が開発教育やESDを実施しやすい環境をつくるために、政府や自治体行政との対話の場を広げることを目指しました。 とくに「開発協力大綱」や「SDGs実施指針」などに関して、他団体や市民社会ネットワークとも協力し、 積極的に政策提言活動を行い、一部文言の反映などにもつながりました。

重点事業5では、財政基盤を安定させ、広く信頼を得て、自立した組織になるために、経営計画をたて、 ファンドレイジングに力を入れると共に、事務局や理事 会の役割の整理、職員の能力強化などを行うことを目指しました。昨年度の40 周年記念募金の基金を活用し、これから開発教育を進めたい方々に教材や講師派遣をプレゼントする企画を行い、新しい担い手にアプローチしました。そのほか、新しい財源確保のための協議を進めることができました。一方で、残された課題もあります。開発教育とは何か、グローバル・シティズンシップとはどういうものなのか、全国の実践を開発教育やグローバル・シティズン シップの視点で振り返るためにはどのような仕組みが 必要か、などについて、会員とともに、議論を進める必要があります。 また、昨年度から続く赤字決算を克服すること、財 政基盤安定化のために協力者を拡大していくことの重要性が共有されました。

参加を重視した事業運営

年度当初に計画した6つの領域「Ⅰ.ネットワーク事 業」「Ⅱ.実践・研究事業」「Ⅲ.情報・出版事業」「Ⅳ.人材育成事業」「Ⅴ.政策提言事業」「Ⅵ.その他の事業」においては、概ね事業計画通りに各種事業を実施することができました。

参加を重視するという点では、ウェブにも掲載している「『みんなの参加』のためのDEARの取組」にもあるように、あらゆる人々が安心して参加するための学 びの場づくりをすすめています。

具体的には、講座やセミナーにおいて難聴者のための要約筆記や視覚障害を持つ会員には、会報や機関誌のテキストを毎回データで送付しています。このような取組を広く伝え、他団体へも伝えていきたいと思います。

これまでの年次報告書類

各報告書はPDF形式で公開しています。

2022年度
(2022.4-2023.3)
ダイジェスト版(4ページ)
事業報告書
活動計算書
活動計算書の注記
貸借対照表
財産目録
2021年度
(2021.4-2022.3)
ダイジェスト版(4ページ)
事業報告書(22頁/2MB)
活動計算書
活動計算書の注記
貸借対照表
財産目録
2020年度
(2020.4-2021.3)
ダイジェスト版(4ページ)
事業報告書(20ページ/1.9MB)
活動計算書
活動計算書の注記
貸借対照表
財産目録
2019年度
(2019.4-2020.3)
ダイジェスト版(4ページ)
事業報告書(19ページ/1.9MB)
活動計算書
活動計算書の注記
貸借対照表
財産目録
2018年度
(2018.4-2019.3)
ダイジェスト版(4ページ)
事業報告書(20ページ/2MB)
活動計算書
活動計算書の注記
貸借対照表
財産目録
2017年度
(2017.4-2018.3)
ダイジェスト(4ページ)
事業報告書(24ページ)
活動計算書
活動計算書の注記
貸借対照表
財産目録
2016年度
(2016.4-2017.3)
ダイジェスト(4ページ)
事業報告書(24ページ)
活動計算書
活動計算書の注記
貸借対照表
2015年度
(2015.4-2016.3)
ダイジェスト(4ページ)
事業報告書(24ページ)
活動計算書
活動計算書の注記
貸借対照表
2014年度
(2014.4-2015.3)
ダイジェスト(4ページ)
事業報告書(24ページ)
活動計算書
活動計算書の注記
貸借対照表