DEAR 開発教育協会

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中期方針(2013-2017年度)

新中期方針(2019-2021)はこちらに掲載しています。

わたしが、世界を変えるチカラになる。

この中期方針は、2013年度から2017年度の5年間でDEARが重視する方向性を示したものです。
作成に当たっては、理事会(全4回)での議論を中心に、評議員会での議論や理事会・評議員会の合同会議(各1回)を実施し、2013年度の定期会員総会で議決されました。
今後5年間、会員・支援者のみなさまとご一緒にすすめていきたいと思っています。さまざまな形でご協力をご参加をお願いしますので、どうぞよろしくお願いします!

2013年度からの5カ年は以下の2つの重点方針と4つの重点事業に基づいて事業をおこないます。

2つの重点方針 

  1. 現在の開発のあり方やグローバル化がもたらす不公正を構造的に捉え広く発信する
  2. 「世界は変えられる」という思いに基づき行動する人を増やす

4つの重点事業 

  1. 「グローバル化と開発問題」研究会を実施します
  2. 公正な社会づくりへ参加するためのアクションの支援
  3. 国内外の開発問題を多様な人たちと話し合う場づくりの支援
  4. 教育政策に関する調査・ネットワークづくり

1.前中期方針により達成したことと残された課題

2008年から2012年の中期方針では、次の5つの重点方針を挙げ、関連事業に取り組んできました。

  1. グローバル化による諸課題を「足もとの課題」からとらえる視点の提示
  2. 学校教育への開発教育モデル事業の提案
  3. 国際協力NGOとの協働プログラムの実施
  4. 地域との有機的ネットワークの再構築
  5. 組織基盤の強化

この5年間で、以前にはあまり見られなかった国内の地域課題や「足もとの課題」をテーマとした開発教育実践が各段に増加するとともに、小学校でも活用できる教材の発行や小学校教員の会員増、NGOと協力した政策提言活動の実施、寄付額の大幅増といった成果につながりました。

このように成果と広がりがある一方で、学校や地域に開発教育が幅広く浸透するためには、それぞれの現場の現実に見合った開発教育のあり方を各地の担い手と積み上げていく必要があることも確認されました。

2.現状認識とDEARの役割

グローバル化による諸課題の現状‐「誰のため・何のための開発か」という批判的視点なき経済成長

近年の経済面でのグローバル化は、自由主義経済のもと、国境を越えた多国籍企業活動、貿易の拡大、資本の移動という、これまで開発の過程で見られた状況を急速に進展、拡大させています。この傾向は、前中期方針策定時の2008年当時より、ますます強まっています。またこれに伴い、世界的な経済・金融危機、食糧危機、気候変動といった地球的課題が世界の隅々にまで浸透し、貧富の格差の拡大や環境破壊などをもたらしています。こうした状況に対して、公正な社会を目指したグローバルな取引や課税等に関する新しい制度やルールが検討されはじめてはいますが、導入が遅れているのが現状です。

さらに「先進国」における経済の低迷と一部の「途上国」や「中所得国」の経済成長は、従来の「(援助される)途上国」対「(援助する)先進国」という関係に加え、それぞれの国内における貧富の格差拡大という新たな構図をもたらしました。日本国内でも、貧富の格差は拡大し、経済効率がますます求められる中で、多様な価値観や少数者の意見が、排除される傾向が、強まっているようにも見受けられます。「誰のため・何のための開発か」という批判的視点なく経済成長が追い求められ、国益・企業益が優先される現状に、大きな危機感を覚えます。

開発教育の課題‐ワークショップにとどまらない、社会変革につながる学びのあり方を追求する

このように進展するグローバル化による貧困や格差の拡大に対し、DEARは教育の立場から、公正な社会の実現のために活動してきました。しかしながら、開発教育は「知ること、考えることはできても、それを行動につなげる動きが弱い」と、長く指摘されていることも事実です。排除や不寛容の意識が強まる状況の中で、未来に向けて望ましい開発のあり方を、異なる意見や立場の人も含む多様な人々ともに考え実行していくという学び・参加のあり方が、今こそ必要とされていると言えます。

こうした現状認識に基づき、DEARは公正な地球社会を目指す教育団体として、現在進行している開発を巡る諸問題の現実により即した学びを提示すること、そして「屋内のワークショップ」にとどまらない、社会変革につながる学びのあり方を追求することが、今、取り組むべき課題と考えます。

こうした現状認識に基づき、DEARは公正な地球社会を目指す教育団体として、現在進行している開発を巡る諸問題の現実により即した学びを提示すること、そして「屋内のワークショップ」にとどまらない、社会変革につながる学びのあり方を追求することが、今、取り組むべき課題と考ます。

公正な地球社会の実現に向けて‐多様な市民の動きと繋がりながら、公正な地球社会の実現に向け活動する

幸いにして、国内外で草の根の動きとして、貿易、エネルギー、食と農などの分野において、経済的利害関係だけではなく、連帯に基づくあたらしい公共性の創出の動きも限定的ながら見られるようになっています。そして社会のあり方にたいして「声を上げること」の重要性も一部では認識されつつあり、その動きも出てきています。こうした多様な市民の動きとも繋がりながら、公正な地球社会の実現に向け活動することを目指します。

3.2013年-17年の重点方針

2013年度から5カ年にわたる中期の重点方針として次の二つの項目をかかげ、活動に取り組みます。これらの重点方針は、2015年度を中間年として、評価を行います。

なお各方針は、開発教育の重要なプロセスである「知り・考える」に関わる1と「行動する」に関わる2として、互いに密接に関連したものと位置づけます。そして市民団体の立場から、オルタナティブな教育のあり方を提案します。さらに本方針に取り組むためには、持続的な組織体制づくりが必須であることから、今後も組織基盤強化を重視していきます。

方針1.現在の開発のあり方やグローバル化がもたらす不公正を構造的に捉え広く発信する

経済のグローバル化と開発問題を足もとの問題とつなげて構造的に捉え直し、複雑化する国内外の開発問題の構造や仕組みについて学びのあり方を発信・提案するとともに、学ぶ機会を提供します。その際に、「誰のための開発か」という視点から、「排除された人々」の側に立つこと、また、市場経済原理だけではない、社会、文化等の多様な価値に基づくことを重視します。

方針2.「世界は変えられる」という思いに基づき行動する人を増やす

学びの場の創出を通して、わたしたち一人ひとりが社会を構成する重要なアクターであることを認識する人、そして、公正な社会を創造し変革していくプロセスに参加しようとする意識や態度、方法を身につけた人を、増やしていくことを目指します。

4.2013年-17年の重点事業

1.「グローバル化と開発問題」研究会の実施

現在のグローバルな諸課題(援助と国際協力、雇用・労働、食料安全保障、都市・農村格差、生産と消費、貿易、多様性と排除、女性と子ども、など)を足もととつなげ開発教育の視点から捉えなおし提示します。

当初3年間の主な実施事項
・研究会活動
・公開セミナーの開催
・「グローバル化と開発問題」に関する「ブックレット」(仮称)発行と普及

5年間の目標と成果物
・教育政策の現状について開発教育の視点で分析され、課題が整理されている。
・オルタナティブな教育政策の議論が深まっている。
・オルタナティブな教育政策に関連したネットワークがつくられており、提言書へ賛同者が増えている。

2.公正な社会づくりへ参加するためのアクションの支援

公正な社会づくりに向けたさまざまなアクションの可能性があることを示し、アクションの意識喚起につながる活動を実施します。

当初3年間の主な実施事項

  • 身近なアクションの事例や方法の収集・調査と発信
  • 「アクションハンドブック」(仮称)の発行と普及

5年間の目標と成果物

  • 開発教育に関連して、社会に関わる多様なアクションが行われている。
  • 「アクションハンドブック」(仮称)の発行により、「私たちにも何かできる」という意識を広く喚起している。

3.国内外の開発問題を多様な人たちと話し合う場づくりの支援

身近な開発問題や賛否両論ある問題について、対話し学ぶ場が広がるよう、そのためのファシリテーター研修やツール作成を実施します。

当初3年間の主な実施事項

  • 場づくり支援のためのツール作成と普及
  • ファシリテーター研修
  • 地域での対話の場づくり支援

5年間の目標と成果物

  • ツールの活用とファシリテーター研修によって、身近な開発問題等について各地の人々(開発教育の担い手)による対話の場づくりが行われている(100箇所、100回以上)。
  • 地域・学校・組織の方針や政策に多様な意見を取り入れることの重要性が認められている。

4.教育政策に関する調査・ネットワークづくり

グローバル人材、教育改革などの教育政策の現状を開発教育の関連で理解するとともに、オルタナティブな教育のあり方を市民の立場から発信・提案する。

当初3年間の主な実施事項

  • 教育政策の現状調査・情報収集
  • 政策分析
  • ネットワークづくり
  • 提言書作成

5年間の目標と成果物

  • 教育政策の現状について開発教育の視点で分析され、課題が整理されている。
  • オルタナティブな教育政策の議論が深まっている。
  • オルタナティブな教育政策に関連したネットワークがつくられており、提言書へ賛同者が増えている。