DEAR 開発教育協会

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中期方針・SDGs基本方針(2019-2021年度)

2019年度からの3か年は以下の5つの重点方針と「SDGsに対する基本方針」に基づいて事業をおこないます。
※前中期方針(2013-2017)はこちらに掲載しています。

全体方針

中期方針2019-2021

世界には、貧困や格差、紛争や戦争、難民の増加や移民への排斥など、様々な課題が山積し、気候変動の深刻な影響は、もっとも脆弱な人々の命を脅かしています。こうした状況の結果、先進国途上国問わず格差と不平等は拡大しており、日本国内においても、貧困や経済格差、人権侵害や差別など人々の尊厳が脅かされています。

今私たちが生きている社会は持続不可能な社会で、これらの問題を構造的に理解し、「共に生きる公正な社会」をつくる人を育てるための開発教育はますます必要になっています。

持続可能な社会に向けた社会変革の主体は、私たち一人ひとりです。

開発教育の実践をより広げ、深めていくためにも、DEAR は、2013-2017 年度中期計画から引き続き、地域との協働および教育政策提言活動についてより積極的に取り組む必要性があると考えています。

それぞれの教育や開発の現場に寄り添いながら、開発教育の実践者を支援し、増やしていきたいと考えます。

また、持続可能な社会づくりの重要な主体である地域との協働、および教育に関する政策提言を行っていくことを重視します。さらに、持続可能な開発目標(SDGs)の背景や本質を理解し、持続可能な社会を実現するための学習を進めていくことと、これらの計画を実施するための基盤となる組織基盤強化を加え、5 つの重点方針を立てます。 また、開発教育を通して持続可能な社会の実現のための教育・学習をすすめていくにあたり、「SDGs に対する基本方針」(別紙)を策定し、中期計画の中にも位置付けていきます。

5つの重点方針

1.開発教育の実践者を支援し、かつ増やします
2.2030 アジェンダ/SDGsを深く理解し、持続可能な社会を実現するための学習を推進します
3.地域の開発課題に向きあい、持続可能な地域づくりのための教育を支援します
4.教育政策に関する提言を行います
5.組織基盤の強化をはかります

方針1.開発教育の実践者を支援し、かつ増やします

様々な教育現場において、より公正で持続可能な社会をつくるための教育活動に継続的に取り組む実践者やファシリテーターを増やします。学校や、学校以外の学びの場、市民活動などにおいて、問題の構造を理解し、社会変革の主体を育てる開発教育の実践者を支援します。また、そのような全国各地の実践者同士が実践共有・情報共有をするような場をつくります。

方針2.2030 アジェンダ/SDGs を深く理解し、持続可能な社会を実現するための学習を推進します

2015 年9 月の国連総会で採択された「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030 アジェンダ(「2030 アジェンダ」)」は、「誰一人取り残さない」という理念を掲げ、「持続可能な開発目標(SDGs)」として17 の目標と169 のターゲットを掲げています。

DEAR は、「2030 アジェンダ」の理念に賛同し、SDGs 達成の先にある「持続可能な社会」をどのように構想し、実現していくのかという本質の議論や、SDGs 策定の背景、すなわち持続不可能な社会の問題を深く理解するための学習を推進し、全国各地の実践者・研究者とともにそのための学習ツールや出版物を作成します。

方針3.地域の開発課題に向きあい、持続可能な地域づくりのための教育を支援します

持続可能な地域づくりの主体は、地域の団体・住民であることから、地域づくりのための教育活動を支援します。地域の開発課題に向きあい、グローバルな課題と地域の課題をつなげるとともに、地域づくりをすすめる学びの中に「開発教育」の視点を提案・共有していきます。また、全国で地域づくりに取り組む団体の情報共有やネットワークづくりの場を支援していきます。

方針4.教育政策に関する提言を行います

開発教育実践者や市民組織と協力して、教育実践に基づく様々な課題を共有し、それら課題解決に向けた方略の検討を行い、目標4.7 に留意しながら国内の教育政策に働きかけていきます。

2020 年度より実施される学習指導要領には「SDGs」の考え方が反映され、今後の学校教育では、子どもたちが「持続可能な社会の創り手となること」が重視されます。全国の開発教育実践者が開発教育やESD を実施しやすい環境をつくるために、政府や自治体行政との対話の場を広げ、教育実践者の声が政策に反映されるような道すじを検討します。

方針5.組織基盤の強化をはかります

上記の重点方針やDEAR の事業を安定的に実施していくためには、組織基盤の強化は急務となっています。財務基盤を安定させ、広く信頼を得て自立した組織になるために、経営計画をたて、ファンドレイジングに力を入れると共に、事務局や理事会の役割の整理、職員の能力強化などを行います。DEAR のすべての事業において、重点方針に基づいて、各事業の方向性を検討し、事業計画をたてます。

SDGsに対する基本方針

2015年9月の国連総会で、「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ(「2030アジェンダ」)」が全会一致で採択されました。「2030アジェンダ」は、「誰一人取り残さない」という理念を掲げ、「持続可能な開発目標(SDGs)」として17の目標と169のターゲットを掲げています。

DEARは、「2030アジェンダ」の理念に賛同し、開発教育を通して持続可能な社会の実現のための教育・学習をすすめていくにあたり、SDGsに対する認識・基本方針を明確にし、開発教育を推進している全国の方々と、地域や学校などにおけるSDGsへの取り組みを共有し、協議していきたいと考えています。そのための具体的な方針および事業を、DEAR・2019-2021中期計画の中に位置づけ、実施していきます。

1.持続可能な開発と開発教育

DEARでは、2005年に「国連・持続可能な開発のための教育の10年開始にあたって-DEARのESD(持続可能な開発のための教育)に対する認識・基本姿勢」を提案しました。DEARは、1990年代の一連の国連・国際会議の議論を取り入れる形で、1997年に開発教育定義再考の議論を経て現在の定義に変更しました。その際に「開発をめぐる問題と環境破壊などの地球的諸課題との密接な関連を理解すること」と、持続可能な開発の視点を加えています。

DEARの考える持続可能な開発とは、DEARが1982年の設立以来、模索してきた1980年代の「オルタナティブな開発」(基本的ニーズの充足、地域文化の尊重、環境の保全、住民の参加などをベースとする)、1990年代の「社会開発」「人間開発」の考え方と深く関連しており、従来の経済開発を批判的に検討し、社会的公正の面から持続可能性を追求するものです。

「持続可能な開発」の概念は、1987年のブルントラント委員会報告「我々の共通の未来」において提起された考え方であり、「将来のニーズを満たす能力を損なうことないような形で、現在の世界のニーズも満足させること」(世代間の公正)と位置づけるとともに、現在の世界における南北間の資源・エネルギー利用の深刻な格差にも言及し、南北問題の解決による「世代内の公正」の確保が持続可能な開発にとって欠かせないことを指摘しています。

2.持続可能な開発目標(SDGs)と開発教育

SDGsは、国連で2000年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継と位置付けられている一方で、途上国の課題解決を軸としたMDGsに対して、人類共通の課題として持続可能な開発を位置付けているところが大きく異なります。2012年「国連持続可能な開発会議(リオ+20)」では、地球環境問題(環境保全)と貧困問題の解消を開発目標と統合し、包括的な目標とすることが提唱され、SDGsが独立した課題の集合体であると同時に、相互に関連し合っている包括的な目標であることが共通認識となっています。

一方で、SDGsがすべての課題を網羅したものではないことも指摘されています。SDGs目標自体において、あるいは取り組みの段階で、ジェンダーや人権の視点、あるいは「誰一人取り残さない」という前提が抜け落ちているのではないかということです。また、SDGsを推進する“エンジン”とされている持続可能な開発のための教育(ESD)は、目標4.7に掲げられているにとどまります。教育は、一目標にとどまらず、SDGsのすべての目標達成の推進力と位置づけることが必要です。また、アジェンダ2030の理念に基づけば、教育そのもののあり方も問い直されるべきです。

すべての子どもたちが学校へ行けるようになるという課題は依然として存在しますが、持続可能な開発のための教育は、従来の学校教育の範疇を超え、持続可能性という視点、すなわち経済、環境、社会、意思決定(政治)の四方向からこれまでの社会のあり方を問い直す教育が重要になります。開発教育は、これまでの社会が経済成長に価値の軸を置いてきたことや意思決定・政治が一部の人によって行われていることへの問題提起など、変革に向けた視点を提示し、多様性が尊重される公正な社会の創造に向けて取り組みを行います。

※ターゲット4.7は「2030年までに、持続可能な開発のための教育及び持続可能なライフスタイル、人権、ジェンダー平等、平和及び非暴力文化の推進、グローバル・シティズンシップ、文化多様性と文化の持続可能な開発への貢献の理解の教育を通して、すべての学習者が持続可能な開発を促進するために必要な知識及び技能を習得できるようにする」と記載されています。

我々の世界を変革する:持続可能な開発のための 2030 アジェンダ 外務省仮訳
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000101402.pdf

3.SDG目標4および4.7に対するDEARのこれまでの取り組み

SDG4「教育目標」は「すべての人に包摂的かつ公正な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する」ことをめざしています。DEARはSDG4やターゲット4.7の策定過程にも積極的に参加してきました。具体的には、2014年11月に名古屋で開催された「ESDユネスコ世界会議」に参加し、「ESD政策への市民参加に関する提言」を提案し、賛同者を募ったり、2015年5月に韓国・仁川で開催された「ユネスコ世界教育フォーラム」に参加し、SDG4の草案となる「Education2030」に対しても意見を出してきました。

日本の「ESD国内実施計画」の諮問機関として設置された「ESD円卓会議」においては、上條代表理事が委員として参加し、計画策定に際する提案や、グローバルアクションプログラム(GAP)後継プログラムについての意見提出をしました。また、日本政府の「SDGs実施指針」や「SDGsアクションプラン」について、SDGs市民社会ネットワーク(SDGsジャパン)のメンバーとして、SDG4.7をすべての教育において主流化していくことや、国内の教育課題と政策について提案しています。そのほか、教育協力NGOネットワーク(JNNE)のメンバーとして、「世界一大きな授業」のプログラム作成と実施に協力し、SDG4の達成に向けたキャンペーンを推進しています。

さらに、学習指導要領や教育政策に関するパブリックコメントの呼びかけを行ったり、SDG4.7についての対話や情報共有の場を提案し、教育政策に対して市民の声が反映されるような環境づくりをすすめています。

4.2019-2021中期計画におけるSDGs関連事業

SDGsへの取り組みは、政府、自治体、企業、学校など各方面において模索されています。

2016年には、総理大臣を本部長とする「SDGs推進本部」が設置され、国内実施と国際協力の両面からの取り組みの体制が作られ、「SDGs推進円卓会議」「SDGs実施方針」「SDGsアクションプラン」などが設置、決定されました。

産業界の動きとしては、2017年に日本経団連の企業行動憲章が改訂され、SDGsが中核に据えられました。IoTやAI、ロボットなどの革新技術を活用して経済成長と社会的課題の解決を両立していくことがうたわれるなど、環境整備が進められています。

学校教育においては、小中学校新学習指導要領(平成29年3月公示)の前文および第一章総則で、児童・生徒が「持続可能な社会の創り手となることが期待される」と明記されています。  

こうした動きを受けて、開発教育協会では、全国の開発教育の関係者が教育実践の中でSDGsに取り組みやすい環境を作るために、2019-2021中期計画方針の2および4においてSDGsの取り組み方針、目標、事業を掲げることを提案しています。

<2019-2021中期計画方針>
2.SDGsを深く理解し、持続可能な社会を実現するための学習を推進します
4.教育政策に関する提言を行います

2.SDGsを深く理解し、持続可能な社会を実現するための学習を推進します

開発教育協会や全国の開発教育関係者がSDGsを推進するにあたって、SDGs達成の先にある「持続可能な社会」をどのように構想し、実現していくのかという本質の議論や、SDGs策定の背景、すなわち持続不可能な社会の問題を深く理解するための学習を推進し、全国各地の実践者・研究者とともにそのための学習ツールや出版物を作成します。

<目標>

  • 人権や社会的公正の視点から考える学習ツールを作成し、普及する。
  • 企業やNPO、NGOが発信する広報資料などにおいて、上記の視点が盛り込まれるように働きかける。

<事業>

  • SDGs研究会の立ち上げ
  • 『SDGs学び方ハンドブック(学習者向け、指導者向け)』(仮称)の発行
  • SDGs学習についてホームページ上での広報
  • 企業やNPO、NGO向けの研修プログラムの提案

4.教育政策に関する提言を行います

開発教育実践者やNPO、NGOと協力して、教育実践に基づくさまざまな課題を共有し、それら課題解決に向けた方略の検討を行い、目標4.7に留意しながら国内の教育政策に働きかけていきます。2020年度より実施される学習指導要領には、「SDGs」の考え方が反映され、今後の学校教育では、子どもたちが「持続可能な社会の創り手となること」が重視されます。全国の開発教育実践者が開発教育やESDを実施しやすい環境をつくるために、政府や自治体行政との対話の場を広げ、教育実践者の声が政策に反映されるような道すじを検討します。

<目標>

  • SDG4.7を実施しやすい環境づくりへの提案を行います。
  • SDG4.7の指標づくりを行います。
  • 学校教育における各教科・領域にSDGsの内容の採用を働きかけます。
  • 教育政策への市民からの提案の意義がより多くの市民に理解されている状況を作ります。
  • 政府や自治体行政と市民の対話の場、対等な関係性をつくります。

<事業>

  • SDG4.7の指標の作成
  • SDGsジャパンおよびJNNEとの情報共有

これら目標および事業を通して、開発教育協会および全国の開発教育実践者が、アジェンダ2030が掲げる「誰一人取り残さない」社会の実現、公正な社会の実現に向けて共に取り組むことを目指します。

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SDGs(持続可能な開発目標)に対する基本方針(2019年4月)