DEAR 開発教育協会

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2022年度年次報告(事業・決算報告)

2022年度(2022.4-2023.3)

各報告書はPDFでお読みいただけます。

単年度収支の概要

2022年度の活動を振り返って

社会の大きな動きの中で

2019年末に発生した新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)は収束の兆しを見せ始めましたが、この間、世界の貧困層は増加し、経済格差は拡大し、人権侵害やジェンダー不平等などの社会的不公正はより深刻になっています。
気候変動への意識と対策は十分とは言えず、世界各地で深刻な影響が出ていますが、その被害は、特に、途上国や立場が弱い人々に集中しています。

世界の共通の目標である「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成は、かなり厳しい状況ですが、より公正で持続可能な社会をつくるためには、現在の社会の構造や教育のあり方、私たち自身の開発観を見直し、どのような社会をつくりたいのか、そのために何をするのか、広く議論を進めていくことが必要です。

国内においても貧困や経済格差、教育や生活、医療の保障は大きな課題になっています。また、移民、難民として来日する外国人への人権侵害も深刻です。

これまで通りに経済を優先し、環境や資源、労働力の搾取や、競争を強化し格差を拡大する社会ではなく、人権が尊重され、多様性が保障され、資源の公正な分配と対話を通して支えあう、持続可能な社会づくりが求められています。
さらに、子どもだけでなく、私たち自身が主体的な学習者であり続けられるように、教育を捉えなおしていく必要があります。

2022年12月にDEARは40周年を迎え、会員の皆様と、これまでの歩みやこれからの展望を共有し、考える機会となりました。さらに、ビジョン、ミッションを見直し、バリューの新設などをすすめました。
「知り・考え・行動する『グローバル・シティズンシップ』を育む」ことを目標に、引き続き開発教育を広め・深めていきます。

今年度は、新中期方針・重点事業に基づき、事業を実施しました。昨年度に引き続き、COVID-19感染拡大防止のために、職員は在宅勤務に切り替え、事業は主にオンラインで実施しました。後期より、徐々に、対面の事業も始め、講師派遣や教材体験フェスタなどは、対面で実施しました。

中期計画の実施報告

2022 年度は「2022-26 年度 中期重点方針・中期 重点事業」1年目の年となりました。

方針1.開発課題をわたしたちの課題として捉え考える 市民性・公共性の追求方針2.教育者中心から学習者中心の教育へ教育観の 転換に向かう

中期重点事業
1. 開発課題(ジェンダー・貧困など)と開発教育 に関する研究会の実施
2. 成人教育。社会教育としての開発教育の推進
3. 開発教育ファシリテーション(対話)の再考・ 議論の促進
4. 教育政策に関する調査・ネットワークづくり
5. 組織基盤強化

重点事業1では、「開発」の意味や望ましいあり方を問い、多様で複雑な「開発」課題を認識し、それらの理解を深めることや、課題達成に向けた行動を促していくために、「市民性」や「公共性」に関する議論を広く提案していくことを目指しました。
SDGs研究会では、「DEAR カレッジ」において、開発課題をテーマとして学ぶのではなく、自らの課題として捉え、様々な意見の人と、「市民性」や「公共性」の 視点で対話をする場の設定を試みました。ジェンダー研究会では、開発教育の教材や実践をジェンダーの視点で分析したり、教育の様々な要素におけるジェンダーの主流化について検討したりしまし た。

重点事業2では、成人教育・社会教育の観点を持った開発教育活動の実践のあり方を広く共有することや、 大人が学び続けられる環境づくりや教育保障と、人々 が市民的な力を得ることで社会が変わるような教育の 議論・提案をし、地域における実践共有や、政策提案 をするネットワークを構築することを目指しました。 ALE プロジェクトでは、「第7回国際成人教育会議」 の成果文書の共有や、文科省への政策提言を行いま した。さらに、全国の成人教育・社会教育の好事例を 収集し、意見交換を行いました。

重点事業3では、参加体験型の学習・教育方法の 普及推進にとどまるのではなく、管理・伝達・誘導型の 教育観を問い直し、学習観を持つことや、子ども若者 と大人の主体的な学習のあり方と、それを支える教育や学校のあり方や役割を、広く議論し共有していくこと を目指しました。
開発教育ファシリテーション講座では、参加者が自分のファシリテーションを振り返り、自分なりの開発教 育ファシリテーションを考えることができました。昨年度の修了生が講座の担い手として協力してくれて、d-lab分科会の企画、運営にも積極的に関わってくれました。研究会においても、開発教育ファシリテーションに関する議論が進んでいます。

重点事業4では、開発教育実践者や市民組織と協 力して、国内の教育政策への提案を行うことや、全国 の開発教育実践者が開発教育や ESDを実施しやす い環境をつくるために、政府や自治体行政との対話の場を広げることを目指しました。 とくに、SDGs実施指針、次期教育振興基本計画や、 開発協力大綱の見直しなどに関して、他団体や市民 社会ネットワークとも協力し、積極的に政策提言活動 を行い、一部文言の反映などにもつながりました。

重点事業5では、財政基盤を安定させ、広く信頼を 得て、自立した組織になるために、経営計画をたて、 ファンドレイジングに力を入れると共に、事務局や理 事会の役割の整理、職員の能力強化などを行うことを 目指しました。40周年記念募金では、「40周年記念募金等検討委員会」を立ち上げ、委員のアイデアを反映し、128万円を募ることができました。そのほか、新しい財源確保のための協議を進めることができました。

一方で、残された課題もあります。開発教育とは何か、グローバル・シティズンシップとはどういうものなの か、全国の実践を開発教育やグローバル・シティズンシップの視点で振り返るためにはどのような仕組みが必要か、などについて、会員とともに、議論を進める必要があります。また、財政基盤安定化のために協力者を拡大していくことの重要性が共有されました。

参加を重視した事業運営

また、年度当初に計画した6つの領域「Ⅰ.ネット ワーク事業」「Ⅱ.実践・研究事業」「Ⅲ.情報・出版事 業」「Ⅳ.人材育成事業」「Ⅴ.政策提言事業」「Ⅵ.そ の他の事業」においては、概ね事業計画通りに各種 事業を実施することができました。また、40 周年基金を活用した 40 周年記念事業を実施しました。

参加を重視するという点では、ウェブにも掲載している『「みんなの参加」のためのDEARの取組』にもあるように、あらゆる人々が安心して参加するための学びの場づくりをすすめています。

具体的には、講座やセミナーにおいて難聴者のための要約筆記や視覚障害を持つ会員には、会報や機関誌のテキストを毎回データで送付しています。このような取組を広く伝え、他団体へも伝えていきたいと思います。

これまでの年次報告書類

各報告書はPDF形式で公開しています。

2021年度
(2021.4-2022.3)
ダイジェスト版(4ページ)
事業報告書(22頁/2MB)
活動計算書
活動計算書の注記
貸借対照表
財産目録
2020年度
(2020.4-2021.3)
ダイジェスト版(4ページ)
事業報告書(20ページ/1.9MB)
活動計算書
活動計算書の注記
貸借対照表
財産目録
2019年度
(2019.4-2020.3)
ダイジェスト版(4ページ)
事業報告書(19ページ/1.9MB)
活動計算書
活動計算書の注記
貸借対照表
財産目録
2018年度
(2018.4-2019.3)
ダイジェスト版(4ページ)
事業報告書(20ページ/2MB)
活動計算書
活動計算書の注記
貸借対照表
財産目録
2017年度
(2017.4-2018.3)
ダイジェスト(4ページ)
事業報告書(24ページ)
活動計算書
活動計算書の注記
貸借対照表
財産目録
2016年度
(2016.4-2017.3)
ダイジェスト(4ページ)
事業報告書(24ページ)
活動計算書
活動計算書の注記
貸借対照表
2015年度
(2015.4-2016.3)
ダイジェスト(4ページ)
事業報告書(24ページ)
活動計算書
活動計算書の注記
貸借対照表
2014年度
(2014.4-2015.3)
ダイジェスト(4ページ)
事業報告書(24ページ)
活動計算書
活動計算書の注記
貸借対照表