2010年8月8日(日) 研究フォーラム
研究フォーラムは、開発教育を「深める」ことを目的に開催します。
開発教育の実践者や研究者同士の意見交換を通して、各実践・研究を深めていきます。
既に実践されている方で、さらに開発教育の実践や研究を深めたい方のご参加をお待ちしています。
- 9:30~ 受付開始
- 10:00~11:40 実践・研究報告(全9コマ)
- 11:40~12:40 昼食・休憩/教材の展示販売
- 12:40~14:10 講演会「オルタナティブな経済と開発教育」
- 14:20~16:50 課題別分科会(全4コマ)
10:00~11:40
実践・研究報告
日頃の実践や研究の成果を報告します。参加者とのディスカッションを通して、より深めます。
当日、ご希望のプログラムにご参加ください。
10:00~10:45 第1ラウンド(5コマ) + 10:55~11:40 第2ラウンド(4コマ)
当日、ご希望のプログラムにご参加ください。
10:00~10:45 第1ラウンド(5コマ) + 10:55~11:40 第2ラウンド(4コマ)
1.ESD 参加型開発とコミュニティーワーク、まち育て
実践者:長岡素彦(持続可能な開発のための教育の10年さいたま/コミュニティワーカーズネットまきコミュニケーションソーシャルプロデュースネット)
開発教育・開発の参加型開発・コミュニティオーガナイザーと福祉教育・福祉のコミュニティワーク・コミュニティワーカー、まち育て〔まちづくり・学習〕の実践と多くの共通点があるが、相互の関連づけや実践交流が少ない。従来からESDとしてこれらをつなぐ活動を行い、昨年は日本福祉教育・ボランティア学習学会の会員との事例検討により、開発教育・参加型開発と福祉教育・ボランティア学習・コミュニティワークについての研究・実践報告をまとめた。また、まち育て〔まちづくり・学習〕の実践をESDとして参加型開発につなげる実践・検討ををまちづくり現場での交流や(財)住宅総合研究財団の「住まい・まち学習」実践報告・論文集での発表・検討などで行ってきた。今回、全研において参加者とともに開発教育・参加型開発の実践者と福祉教育・ボランティア学習・コミュニティワーク、まち育ての検討を行い、相互に実りあるものとしたい。
2.体験的学習から得られるもの―ストリート・チルドレン体験を通して―
実践者:原郁雄(長野県駒ヶ根市立赤穂東小学校/横浜市立大学大学院都市社会文化研究科共同研究員)
小学校高学年児童の海外の貧困問題に関する実践報告です。体験学習の厳しい実感から物質援助を始めたが、ある援助で受け取り側から援助物資を断られたことを機に「本当にあるべき援助とは何だろう」とうことに直面し話し合った実践。海外の貧困の厳しい実情を学ぶ中で、ストリート・チルドレンと同じように学級全員で屋外に一晩泊まってみた。予想以上に厳しい実感から子ども達は寒さ対策のための衣類支援活動に乗り出した。資金集めの方法や衣類の送付など課題を克服しながら送付にこぎ着けた。しかし担任がアフリカに直接援助物資を持って行った際、現地のある学校では受け取りを断られ、「援助は良いこと」と思っていた子ども達は「慈善型援助」の限界に直面した。どんなことが子ども達の驚きを喚起し、それが活動意欲に転化されるか、また活動をすることで何が個々や集団の中に育ち、あるべき援助についてどう子ども達が追求したか、ご紹介したいと思います。
3.国際協力NGOの開発教育-―LIFEの挑戦-
実践者:後藤由紀子&友尻小百合&渡部悠&林加奈子((特活)地球の友と歩む会(LIFE))
これまで国際協力NGOは、途上国での現場支援とともに国内において開発教育活動を行ってきた。しかしながら、実践状況を見てみると、団体により開発教育の定義、内容は異なっており、中には広報活動の一部となっているところもあるようである。しかし、社会の現状を変えることを第一義的な目的として活動する国際協力NGOが、開発教育の本来の目標に立ち返り、「知り、考え、行動する」人材を育成していく意義は大きい。
今年度初め、LIFEでは開発教育の最終目標を①「開発教育活動を通じて、社会問題に取り組むことをもっと身近にする」、②「地域の活動に取り組む体制を確立する」と設定、10ヵ年計画を立てた。最初の5ヵ年計画は、スタディツアーを開発教育の視点から再構成すること、国内スタディツアーを実施し、途上国との連続性という視点から日本と地域の問題を把握すること、一般の人向けプログラムを作成、実践することであり、次期5ヵ年計画は学校現場での授業実践、LIFEとしての地域活動の開始である。本報告では、上記の10ヵ年計画を踏まえ、LIFEの目指す開発教育の方向性、具体的な計画、実践について報告し、フロアのみなさまから意見を頂戴することにより、今後の活動を発展させる契機としたい。このような一国際協力NGOによる開発教育の方向性の提示は、NGO業界に国際協力NGOが本来の目標に立ち返って開発教育に取り組む必要性について改めて考える機会を提供するものとなると考える。
4.開発教育としてのスタディツアー-桜美林大学での実践-
実践者:林加奈子(桜美林大学/早稲田大学大学院博士後期課程)
昨今、NGOや大学が実施するスタディツアーの数が増えているが、スタディツアーはその名の通り、「学び」を目的としたツアーであり、開発教育そのものと捉えることができる。このように捉えた場合、スタディツアーの「学び」とは「知り、考え、行動する」一連の開発教育活動の中で生み出されてくるものと言える。しかし、現行のスタディツアーは偶発的な学びを軸にしているものが多く、参加者任せになっている感がある。開発教育としてスタディツアーを実施するには、常に「行動」につなげることを意識しながら「知り、考える」過程をスタディツアープログラムとして構成していく必要があるのではないだろうか。報告者は、上記の考えをもとにこれまで桜美林大学にてスタディツアーを実施してきた。本報告では、報告者が実践において重視している「省察と行動」を軸にしたスタディツアープログラムの構成、参加者を行動につなげる上でのコーディネーションを中心に発表をし、これまでの成果を評価することにより、上述の重要性とともに今後の課題を提示したい。
5.グローバル化のもとでの参加型地域開発と開発教育-北タイNGOとDEARとの参加型学習を通した協力活動
実践者:田中治彦(上智大学)&上條直美(立教大学)
北タイのISDEP(持続可能開発教育促進研究所)は従来からPLA(参加型学習行動法)を応用してNGOスタッフや村落リーダーの養成を行ってきた。しかしながらタイにおけるグローバリゼーションの進展に伴い、従来の参加型学習では対応しきれなくなっていた。一方DEARの教材・ワークショップはもともと世界のできごとを身近に理解するための教材が多く、ISDEPにとっても有益であった。そこで、2007年以来、両者と立教大学ESD研究センター、恵泉女学園大学、チェンマイ大学の協働により、NGO若手スタッフ研修プロジェクトを3か年にわたって実施した。まず、「貿易ゲーム」「コーヒー教材」などのDEARの教材が、現地の村落においてどのように応用されて活用されているかを報告する。そして、タイの村落において実践する場合の課題や、参加型学習に関して日・タイに共通する問題や今後の課題などを明らかにしたい。
6.「植民地主義」から考える開発教育-アフリカ地域教育の始点-
実践者:山崎瑛莉(上智大学大学院総合人間科学研究科教育学専攻博士課程後期課程)
本発表では、アフリカ地域を例として取り上げ、「植民地主義」というテーマが開発教育に示唆するものを考察する。開発教育の目的は「低開発国」の理解であった。その後日本の開発教育においては、そうした国々のもつ課題は先進国である我々の生活と切り離せないということに焦点が当てられ、近年は「ローカルからグローバルへ」の視点を強調した理論や実践が蓄積されてきた。それらは、身近な課題を問うことから学習者の行動へと結びつきやすく、開発教育自体を推進しているといえるだろう。しかし、そもそも貧困とは何か、人権とは何かという問いは繰り返されてべきである。これまでの開発教育教材に中心テーマとしてあまり用いられてこなかった「植民地主義」を扱うことは、それらの根本的な問いを思い起こさせるのではないだろうか。深刻な貧困問題が集積するアフリカに注目し、その過去と現在に学ぶことで、改めて開発教育の原点を問い直したい。
7.開発教育における貧困認識-実践・教材の分析を通じて-
実践者:鈴木隆弘(清和大学)
日本においても貧困が拡大している。このような状況下において、開発教育では、改めて足下の地域を問い直す動きが生まれてきている。80年代、開発教育が紹介された当時、その主な内容は第三世界の貧困問題をどのように把握し、克服するかであった。その後、開発理論の変化などが生じ、開発教育でも、直接的に貧困を問う教育から、気づきを重視し、学びにおける「排除」を解消する参加型学習の重視へと変化していくこととなった。しかし、現在、国内においても、第三世界問題ともいうべき状況が現れている。この間の、地域を問い直す動きは、開発教育が再び貧困を問う教育へと「回帰」しているものといえないだろうか。 本研究報告では、上記問題意識に基づき、これまでの開発教育における貧困の扱われ方を中心に、実践・教材における貧困把握について分析する。実践者・参加者における教材を通じた貧困認識の変化について検討し、現在の貧困研究の成果に学びつつ、今後、開発教育において貧困がどのように扱われるべきなのかについて検討する。
8.非識字体験ゲーム「ここは、何色?」「はじめてのお見舞い」
実践者:(財)滋賀県国際協会
開発途上国などでは、子どもや女性の識字率の低さが依然として大きな課題となっています。また、現在の日本国内においても、多くの外国籍住民が言語の壁に苦慮しながら生活をしているという実態があります。言葉がわからないことから生じる不安な気持ちや、そのことからどのような不利益を被るかなどを疑似体験できるワークショップ教材です。世界の言葉や文化の多様性、開発途上国の実情、地域の多文化共生への理解など、様々なテーマに合わせて活用ください。
9.世界に目を向けよう-今、私たちにできること
実践者:金子玲子(さいたま市立岸中学校)&三浦直行(川口市立東中学校)&阿部史朗(さいたま市立慈恩寺中学校)
私たちは、次のような目的をもって活動をしている、公立中学校の教員とその教え子及び地域のボランティア団体で、今年で18年目を迎えます。埼玉県・さいたま市国際交流協会、さいたま市国際NGOネットワークに加盟しています。(目的)
・世界に目を向け、自己と世界との関わりについて考えるきっかけづくり。
・より良い社会作り、未来作りのために、今、自分たちのできることを考える。
当会は上記の目的の基づき、「世界を知ろう」(『地雷ではなく花をください』『世界がもし100人の村だったら』などの紙芝居や絵本の読み聞かせ)、「海を越えての交流」(ネパール・チャドなどの子どもたちと絵や折り紙での交流)、「身近にできる国際支援」(ペットボトルキャップやインクカートリッジ、使用済みカード、書き損じはがき、切手などがどのように国際支援につながっているのかという説明と回収)という三本柱を掲げて活動しています。月2回の学習会と年1回のイベントを積み重ね、学びの共有を図っています。そして、「私たちにできること」を考え、身近なところから実行しています。私たちの実践報告をもとに、お互いに学びを深められる時間を作れたらと思います。

12:40~14:10
講演会「オルタナティブな経済と開発教育」
近年の世界的な経済停滞の一方で、日本の雇用や失業、所得格差の問題もますます顕著になり、医療・教育・福祉などさまざ
まな社会不安が募っています。「共に生きることのできる公正な地球社会」という「オルタナティブな社会」を目指す開発教育は、国内の深刻な開発問題を視野に入れた上で、これからの地球社会のあり様をどう論じ、具体的な教育実践としてどう展開していけるのでしょうか。本基調講演では、「オルタナティブな社会」の構想に大きな影響を及ぼす経済のあり方に着目し、近年取り組まれているオルタナティブな経済活動と、教育活動や市民活動との関係や連携を論じることで、今後の開発教育の実践上の目標や課題について考えます。
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講演:西川 潤(にしかわじゅん)/早稲田大学 早稲田大学名誉教授、創設以来のDEAR会員。経済発展論・開発経済学を専門とする。国際開発学会会長。アジア連帯経済フォーラム学術委 員。1981-83年のニューヨーク国連勤務時代に開発援助における国際官僚組織の限界を知り、1985年 日本ネグロスキャンペーン委員会、オルタート レード社の設立に関わる。1995年の国連社会開発サミットの日本代表団にNGO代表として初参加。岩波ブックレットの『データブック貧困』『データブック人口』『データブック食料』、岩波新書『世界経済入門』は、市民団体の学習テキストとして広く使われている。近編著に『島嶼沖縄の内発的発展』(藤原書店)がある。 |
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司会:湯本 浩之(ゆもとひろゆき)/立教大学 立教大学文学部特任准教授、DEAR副代表理事。大学卒業後、アフリカで2年間を過ごす。帰国後、現在の国際協力NGOセンター(JANIC)の事務局に参加。1996年からDEAR事務局長として組織や事業の企画運営に携わる一方、研修の講師やファシリテーターを務める。2008年から現職。 |

14:20~16:50
課題別分科会
4つのテーマに分かれて議論を深めます。
ご希望の分科会を第2希望までご記入ください。先着順で定員に達し次第〆切ます。
ご希望の分科会を第2希望までご記入ください。先着順で定員に達し次第〆切ます。
第1分科会 フェアトレードとオルタナティブな社会
コーディネーター:重田康博(宇都宮大学)ゲスト:渡辺龍也(東京経済大学)、伊藤文((特活)パルシック)、
明石祥子(フェアトレードくまもと/らぶらんど・エンジェル)
公正な貿易と発展途上国の生産者の自立を目指す「フェアトレード」は欧州諸国に本格的に定着するようになり、日本でも徐々に紹介されています。NGOや企業によって、コーヒー、紅茶等のフェアトレード商品が日本のマーケットにも出回るようになり、地域では「フェアトレードタウン」運動が始まっています。本分科会では、フェアトレードがオルタナティブな社会を作り出すことができるのかというテーマを設定し、「貿易構造」という視点から、フェアトレードを問い直すと共に、具体的な事例を通じてフェアトレードの担い手と開発教育の役割を考えます。
第2分科会 先住民族・アイヌをめぐる課題と開発教育
コーディネーター:小泉雅弘((特活)さっぽろ自由学校「遊」)、田中治彦(上智大学)
ゲスト:上村英明(恵泉女学園大学)、北原きよ子(関東ウタリ会)
アイヌをめぐる課題は、北海道の一地域の問題としてではなく、日本全体の問題として捉えないと解決への展望が開けない局面にきています。しかしながら、北海道以外ではアイヌの人口も少なく、この課題への認識も薄いのが現状です。一方で、開発教育は「遠い南」の問題を理解するためのさまざまな手法や、この問題の理解を促進するための学習活動のリソースをもっています。先住民族をめぐる課題、とりわけアイヌをめぐる課題を整理して、今後、開発教育として何ができるのかを一緒に考えていきます。
第3分科会 多文化社会における開発教育とは-「ひとの移動」の視点から考える
コーディネーター:斎藤聖((特活)在日外国人教育生活相談センター・信愛塾/(特活)地球の木)
ゲスト:陳天璽(国立民族学博物館/無国籍ネットワーク)、梅田玲子(神奈川県立外語短大)
海外の貧困や開発問題を学習し、グローバルな課題に対し何ができるのかを考えるとき、学習した国・地域がルーツの身近に暮らす外国人と結び付けて考えることは、簡単ではありません。外国につながりのある子どもとホスト社会・日本の子どもが、教室で机を並べるのを前にし、開発教育が提示できるものは何でしょうか。「移動する側」と「そこにいる側」それぞれに、多文化社会をもたらす「ひとの移動」を切り口とした学習がどのような学びを提供できるのか、パネリストの体験・研究・実践をもとにして具体的な「学習行動」につながる議論を目指します。
第4分科会 激動することばと開発教育
コーディネーター:山西優二(早稲田大学)ゲスト:吉村雅仁(奈良教育大学)、丸山英樹(国立教育政策研究所)
国境を越えた人々の移動に伴い、国内各地で多言語・多文化化が進展。生活言語・学習言語としての日本語の習得と、文化的アイデンティティの形成に影響を及ぼす母語の獲得という問題への対応が求められています。一方、小学校では、2011年度から外国語活動(英語活動)が導入されようとしています。さらにグローバル化等により世界中で少数言語が急激に減少する中で、ユネスコや欧州連合は文化の多様性を重視し、多言語主義や複言語主義への動きを示しつつあります。ことばを取り巻く文化や社会構造的な問題状況に、開発教育は今後どのように対峙していくのかなど、その方向性と外国語活動や地域日本語教育での具体的な実践方法について考えます。





