DEAR 開発教育協会

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DEARとサポーターの皆さまによる開発問題への取り組みをご紹介します。

DEARについて

理論編-開発教育って、なんだろう?

Q1 開発教育のねらい

開発教育は英語のDevelopment Educationを日本語に直訳した言葉です。
開発教育は、1960年代に南の開発途上国でのボランティア活動に出かけていた欧米の青年たちによって始められました。最初は、開発途上国への支援を促すための教育という色彩の強いものでしたが、その後、南北問題や貧困、環境破壊といった問題が、先に工業化した国々との関係の中で構造的に起こることを理解し、それらの問題の解決に向けて、一人ひとりが参加し、行動していこうとする教育活動に変化していきました。

私たちは、これまで経済を優先とした開発をすすめてきた結果、貧富の格差や環境の破壊など、さまざまな問題を引き起こしてきました。これらの問題にとりくむことが、私たちみんなの大きな課題となっています。

開発教育は、私たちひとりひとりが、開発をめぐるさまざまな問題を理解し、望ましい開発のあり方を考え、共に生きることのできる公正な地球社会づくりに参加することをねらいとした教育活動です。



Q2 いつ、どのように始まったの??

開発教育の原型は、開発援助についての広報活動にあると言われます。
第二次世界大戦後、それまで植民地だったアジア、アフリカ、ラテンアメリカの国々が相次いで独立し、先進工業国の多くが外交政策の一つとしてこれらの国々に対する開発援助を行うようになり、また国連機関やNGOも積極的に援助を行いました。
初期の開発教育は、「かわいそうな子どもたちのために」募金に協力してくださいというように、感情に訴えることに傾きがちで、貧困の原因やその解決の仕方などについては深く立ち入らない傾向がありました。

1960年代を通じて、開発途上国はある程度の経済成長を示しましたが、大量の援助にもかかわらず、工業化はなかなか進まず、逆に貧富の格差が拡大したところもありました。 先進工業国では、開発問題を議論するなかで、世界の貧困や開発の問題は、先進工業国の経済体制そのものを問う形で取り上げられるようになりました。そうした動きの中で、開発教育は、1970年前後に、援助広報と区別されたものとして、市民団体や学校関係者の間から生まれています。

日本に開発教育の概念が本格的に紹介されたのは、国連広報センター・ユニセフ駐日事務所・国連大学が「開発教育シンポジウム」を東京で開催した1979年でした。1982年には、開発教育の普及、推進に関心を持つ個人や団体で開発教育協議会が結成されました。



Q3 何をめざしているの?

開発教育を通してめざす大きな目標は、共に生きることのできる公正な地球社会の実現です。

またこの大きな目標実現のために必要な実践ごとの目標は
①知ること
②考えること
③変わり、行動すること

の3点です。

私たち一人ひとりが変わるということは、地球社会のさまざまな課題に目を向けるとともに、私たちの日常生活の仕方そのものを変えていくことが基本にあります。 また、身近に暮らす外国人との共生や、差別・偏見をもたない人間観を持つこともきわめて大切なことです。 しかしさらに重要なことは、こうした自己変革を個人的なレベルにとどめるのではなく、社会的レベルの実践とするために、社会の制度的な変革や幅広い人々に訴えていく活動です。

また、現在行われている学校や社会での教育活動そのものも変えていかなければ、これらの目標を実現することはできません。 日本のこれまでの教育は、どちらかといえば受験に縛られた知識偏重型教育、教える側の一方的・強制的教育が中心でした。 最近になってようやく、一人ひとりの個性を大切にした主体的学習、総合的視野の養成などに留意した教育のあり方が論じられるようになりました。
教育のあり方そのものを問い直す開発教育は、今後の日本の教育を先取りし、新しい視点と方向を指し示しているといえます。
開発教育はそうした意味で、これまでの教育そのものを考え直すこともめざしているのです。



Q4 何を学ぶの?

開発教育の具体的な学習目標として以下の5項目があげられます。

●多様性の尊重
開発を考える上で、人間の尊厳を前提とし、世界の文化の多様性を理解すること。
●開発問題の現状と原因
地球社会の各地に見られる貧困や南北格差の現状を知り、その原因を理解すること。
●地球的諸課題の関連性
開発をめぐる問題と環境破壊などの地球的諸課題との密接な関連を理解すること。
●世界と私たちのつながり
世界のつながりの構造を理解し、開発をめぐる問題と私たち自身との深い関わりに気づくこと。
●私たちのとりくみ
開発をめぐる問題を克服するための努力や試みを知り、参加できる能力と態度を養うこと。


Q5 海外ではどのように行われているの?

欧米では、1960年代から開発協力NGOが開発教育の推進に重要な役割を果たしてきました。

イギリスでは、主要なNGO(オックスファム、クリスチャン・エイド、CAFODなど)に開発教育セクションが設置され、開発教育担当スタッフが教師を対象とする研修や教材開発を専門的に行っています。

NGOと共にイギリスの開発教育を担ってきたのが、全国50カ所にある開発教育センターです。開発教育センターでは、地域の教師が開発教育を行うにあたってのアドバイスをしたり、教師と共同で教材を開発したりしています。また、地域の中での体験学習プログラムを行い、地域の開発のあり方を問うような活動も行っています。

全国の開発教育センターをコーディネートし、各地での展開を支援しているのが開発教育協会(DEA)で、開発教育関係者のための会議やEUやイギリス政府へ資金助成の申請、議員への制作提言活動を行っています。

オランダでも、NGOや開発教育センターが熱心に開発教育を推進してきたこと、メディアを有効に利用していることはイギリスと共通しています。イギリスと異なるのは、オランダの場合、政府がNGOや開発教育センターの活動を熱心に支援しており、かつ自らも開発教育を推進していることです。

開発途上国においても開発教育が行われています。例えばインドでは、私立学校に通う上流社会の子どもたちがスラムの子どもたちに読み書きを教えるプログラムがあったり、権利を奪われている子どものことを学ぶ英語のコミック誌がつくられていたりします。



Q6 日本ではどのように行われているの?

日本では1980年代以降になって、アジアやアフリカなどの「南」の人々との協力活動を進めるNGOの活動が活発になってきました。欧米の開発教育と同様、日本の開発教育も、「南」の国々の開発問題に携わってきた民間団体、特にYMCAなどの青少年団体やユニセフ、ユネスコといった国連機関の国内団体、NGOなどの関係者によって、その実践が試みられてきました。また、日本政府が実施している青年海外協力隊の経験を持つ人たちによっても、学校や地域における開発教育が進められてきました。

開発教育が日本に紹介されて20年が経とうとしています。この間、戦後の日本社会を支えてきた政治や経済のシステムの矛盾や限界が露呈する中で、NGOやNPOなどによる市民活動が社会的な関心や評価を得るようになってきています。また、「子ども」や「こころ」をキーワードにしたさまざまな問題が顕在化してくる一方で、日本の教育制度も大きく変わろうとしています。

こうした日本社会の変化に対して、開発教育が何を提案していけるのか。「開発」や「教育」の今後のあり方や指針を広く社会に提案していく時期に今あるのではないかと思います。



Q7 国際理解教育などとはどのように関連しているの?

開発教育と国際理解教育とはどう違うのか、という質問を受けることがよくありますが、その質問はとても答えづらいものです。というのは、開発教育がその20年ほどの歴史の中でそうであったように、国際理解教育も約50年にわたる歴史の中で、その概念を進展させてきたために、質問者の国際理解教育というものが具体的に何を指しているのかがわかりにくいためです。

国際理解教育の推進に国際的に主導的な役割を果たしてきたユネスコの1974年勧告(「国際理解、国際協力及び国際平和のための教育並びに人権及び基本的自由についての教育に関する勧告」)を見ると、取り扱うべき人類の主要課題として、民族、平和・軍縮、人権・人種差別、開発、人口、環境などの問題を提示しています。つまりここには、開発教育をふくむ地球的諸問題に焦点を当てた教育をより包括的にとらえていこうとするユネスコの姿勢が示されています。この包括的な国際理解教育との関連で言えば、開発教育はその一部を占めるものということができます。

一方、日本で80年代以降に臨時教育審議会や中央教育審議会の答申において必要性が指摘されてきた国際理解教育は、「国際社会に生きる日本人の育成」を軸にし、主として「日本の伝統・文化への理解と尊重」「異文化理解」「外国語・外国語コミュニケーション能力の育成」をめざすものです。この国際理解教育との関連で言えば、開発教育は、国際理解教育とその方向性、目標、内容などにおいて、大きく異なっていると言わざるを得ないのです。 

開発教育は開発をめぐる問題に焦点を当てていますが、同じように他の地球的諸問題に焦点を当て、その問題の解決を通して、共に生きることの出来る公正な地球社会の実現をめざす教育活動として、「人権教育」「平和教育」「環境教育」「多文化教育」などをあげることができます。またより包括的な教育活動として「グローバル教育」「ワールド・スタディーズ」「地球市民教育」「国際教育」などをあげることができるでしょう。これらの教育活動は、成立の背景、進展の歴史、目標・内容などにおいてそれぞれ特性を有していますが、それらは密接に関連し合っています。そして、それぞれの教育は、その特性を保ちつつ、共に生きることができる公正な地球社会の実現に向けて、より関連性を強めながら、実践されていくことが求められています。



Q8 どんなふうに実践するの?

開発教育は、学校の授業で学んで、何点で合格、という性質の学びではなく、当事者性のある地球的な諸課題に関して、どのような態度をとるのかを生涯にわたって問い続けるものです。学びの主体としての市民、変革の主体としての市民、という気づきが出発点ですが、その学びの方法や場所はさまざまです。

学校教育の現場でも、開発教育の実践が多く見られるようなってきています。また、各地にあるNGOや地域の課題に取り組む団体、国際交流団体などが開催する講座に参加することもできます。自治体の補助金を得て作った婦人学級や、PTA、児童図書館などの活動として開発教育に取り組んでいる人もいます。企業でも、国際協力を推進する部門を設けたり、組合として積極的に関わりをもつ活動もあります。 一人ひとりが、市民として、自らすすんで学ぶ、という学びの本来の形は、誰かに組織してもらって、その人についていく、というものからはほど遠いところにあります。学びの過程を大事にする開発教育には権威者はなく、誰でもどこでも実践できるものです。

開発教育の実践の広がりの中で、何を教えるかということに加えて、どのように教えるかということに関心が向けられるようになりつつあります。開発教育の特徴の一つは、参加型学習にあると言えます。永続可能な参加型社会をめざす教育ですから、学びのあり方も参加型になるのは自然なことです。 



Q9 「ファシリテーター」ってどんな人?

教育方法は大きく二つに分けられます。「知識伝達型(時として知識詰め込み型)」教育と、「問題提起型」教育です。

「知識詰め込み型」教育では、先生は生徒が何も知らない、何も持っていないことを前提に、ただただ、一方的に生徒に知識を詰め込みます。これを「権威の教育」とも言います。  

「問題提起型」教育での先生の役割は大きく異なります。先生は、生徒一人ひとり、それぞれ異なった豊かな経験・知識・技術・アイディア・関心・パワーを持っている、と信じています。先生の役割は「質問する」こと、生徒の考え・声を「聴く」こと、それによって生徒が持っている豊かなものを「引き出す」ことです。そしてグループの中で「対話を起こし」、また、先生の持っている経験・知識も生徒のそれと組み合わせ、重ね合わせながら何が問題なのか、なぜそうなるのか、どうしたらよいか、などを「一緒に考え合う」ことです。 

英語の辞書で「ファシリテート(facilitate)」を引くと、「(仕事などを)容易にする、促進する、楽に運ばせる」とあります。問題提起型教育では、参加者相互の学び合いを可能にする、促進する役割を担う人のことを「ファシリテーター」と呼んでいます。 



Q10 「参加型学習」ってなあに?

「参加型学習」にはいろいろな形態があります。学習者が主体的に参加しながら学ぶ学習方法ですから、例えば理科の実験や英語の会話の授業も参加型学習の一つと言えます。広い意味ではNGOのスタディツアーやワークキャンプに参加したり、開発問題に関するテレビ番組を友だちと一緒に見たり、その後で南北問題や貧困の問題について話し合うことも参加型学習の一つと言えるでしょう。

開発教育の場では、「ワークショップ」という形態がよくとられます。ワークショップでは、何人かのグループで課題について話し合い、そこから何らかの成果を出してそれを発表し合いますので、単に「お客さん」として座っていることはできず、自分の知識や考えを他のメンバーに提供することが求められます。ワークショップにもいろいろな形態がありますが、学習者間の話し合いや議論を通して、「自分たちの答え」を見つけ出していきます。

また、ワークショップではゲームや身体を使った楽しい活動(アクティビティ)がよく行われます。楽しくなければ学習者が主体的に参加することはできません。しかし、楽しいだけで終わってしまっては学習の成果は十分には出ません。「楽しい」活動の中から新しい発見や気づきを導き出し、また、自分と社会との関係についても考えることがワークショップの中では重要です。


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※本書は1998年発行の「開発教育Q&A集」を改訂したものです。
※当ページの解説は、1998年発行の冊子から引用しています。詳しく学びたい方、最新の情報を知りたい方は、ぜひ改訂版をお求めください。

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