DEAR 開発教育協会

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基本アクティビティ集2−難民

概要

  • 発行:開発教育協会
  • 2019年3月、A4判32頁
  • 一般価格:¥1,200(税込¥1,320)/図書館価格¥2,400(税込¥2,640)
  • 会員価格:¥1,000(税込¥1,100)
  • 対象:中学生以上

身近に存在する難民について知り、かれらと共に生きていくために何ができるのかを考えるきっかけに

私たちは、この地球に6,000万人を超える難民・避難民といわれる人たちと暮らしています。そして、住む場所を追われる人びとは、世界中で今後ますます増える可能性があります。難民が生まれる要因は、戦争や紛争、政治体制による思想信条、宗教、性的多様性への弾圧や、それらの相違を背景とする民族間対立など様々です。難民問題に関する学習は、その背景や原因である社会構造、難民認定をめぐる解釈、解決のあり方など、領域が広く、内容も専門的で、自分事として捉える難しさがあります。

しかし、難民について学び、問題に向き合うということは、他の人権・環境問題などと同様、どのような社会をつくるのか、一人ひとりの生き方の選択につながります。私たちの住む日本にも約7,500人の難民の方々が暮らしていますが、日本においては難民問題に対する関心は高いとは言えません。本教材が、私たちの身近に存在する難民について知り、かれらと共に生きていくために何ができるのかを考えるきっかけになれば幸いです。

初めての方も取り組みやすい4つのアクティビティをご紹介

『開発教育基本アクティビティ集1-世界とのつながり』(DEAR、2017年)に続く第2弾として、シンプルで基本的なアクティビティを紹介しています。
・準備が簡単で、45分でできる。
・その後に様々なテーマにつなげて展開したり、応用したりしやすい。
そんな、4つのアクティビティを掲載しました。そして、アクティビティと同じく重要な「ふりかえり」の方法もご紹介しています。開発教育や参加型学習の初心者の方に気軽に実践してほしいという思いから、進行のポイントや発問の仕方も詳しく記載しています。

資料提供・協力

  • 聖心女子大学グローバル共生研究所(SHISF)
  • 特定非営利活動法人 難民支援協会(JAR)
  • 公益財団法人 日本クリスチャン・アカデミー 関西セミナーハウス活動センター 開発教育研究会
  • 加藤丈太郎(早稲田大学大学院アジア太平洋研究科博士後期課程)
  • 藤原孝章(同志社女子大学)

お詫びと訂正

  • 26頁の図1の注釈に「インドシナ難民11,319人を定住難民として受入れ、そのうち半数以上は米国などに出国」とありますが、正しくは「日本に上陸したボートピープル13,768人のうち、半数以上は米国などに出国、強制退去」です。お詫びして訂正いたします。
  • 定住難民として受け入れたインドシナ難民11,319人のうち、9,836人は日本に在住しています(2019年3月末現在)。
  • 27頁の図2にある日本に暮らす難民の概算人数は、約14,000人+難民申請者約24,000人です(2020年末現在)。
  • 最新のデータは、難民事業本部のウェブサイトおよび難民支援協会の年次報告書をご参照ください。

ねらい

本教材は、「難民」をテーマに一人ひとりが問題に向き合い、公正で持続可能な社会のあり方を考えることをねらいとして作成されました。具体的なねらいは以下のとおりです。参考(36頁)に難民をテーマとした学習の目標を詳しく提示しています。あわせてお読みください。

  1. 難民が生まれる背景や難民を取り巻く状況について理解し、関心を持つこと。
  2. 日本に住む難民の人々の暮らしを知り、その立場を想像して自分事として捉えること。
  3. 日本社会における難民の受け入れについて考え、自分に何ができるかを考えること。

もくじ

  • ねらい ‥‥ 2
  • この教材の使い方 ‥‥ 3
  • 開発教育と参加型学習 ‥‥ 4
  • 参加のルール ‥‥ 5
  • ふりかえり ‥‥ 6
  • アクティビティ1 難民について知っていること・知りたいこと ‥‥ 8
  • アクティビティ2 難民ってどんな人? ‥‥ 11
  • アクティビティ3 日本にいる難民について考えてみよう ‥‥ 17
  • アクティビティ4 難民受け入れをめぐる意見を読み比べよう ‥‥ 29
  • 参考・資料集 ‥‥ 36

アクティビティ1 難民について知っていること・知りたいこと

ブレインストーミングとは、提示された1つのテーマについて、参加者全員が自由に意見やアイデアを出しあい、そこから「何か」を見つけていくための手法です。このアクティビティは、「難民」をテーマに参加者が難民について知っていることや知りたいことを付箋紙に書き出し、参加者間で共有していくというとてもシンプルなものです。参加者が自身の先入観や情報の片寄りなどに気づくきっかけとなるとともに、ファシリテーターも参加者の学習状況や興味・関心を把握することができます。

アクティビティ1 難民について知っていること・知りたいこと
アクティビティ1 難民について知っていること・知りたいこと

アクティビティ2 難民ってどんな人?

15個の質問が書かれたクイズシートを使って、難民問題に関する基礎的な事実を理解していくアクティビティです。このアクティビティは、難民問題に関する初歩的な知識を学ぶのに最適で、一連の難民問題に関する学習の導入時に使うのをおすすめします。

開発教育基本アクティビティ集2-難民
アクティビティ2 難民ってどんな人?

アクティビティ3 日本にいる難民について考えてみよう

日本にいる難民のエピソードを読んで難民の気持ちを想像し、日本での暮らしや難民受け入れについて考えるアクティビティです。アジア・アフリカ・中東など、様々な地域から逃れてきた難民のエピソードを使って、難民が生まれる背景・原因やそれぞれの国の事情を学ぶ導入としても活用できます。
なお、アクティビティ1もしくは2を事前に実施したうえで、アクティビティ3を実施することをおすすめします。アクティビティ3を単体で実施する場合は、難民クイズ(以下すすめ方の「2.難民クイズ」)をあわせて行うと導入しやすくなります。

アクティビティ3 日本にいる難民について考えてみよう

アクティビティ4 難民受け入れをめぐる意見を読み比べよう

難民問題に関して、メディアに掲載されているさまざまな意見を読み比べ、自分の気持ちや意見を整理し、表現するアクティビティです。アクティビティ1、2、3のいずれかを事前に実施したうえで、アクティビティ4を実施することをおすすめします。

アクティビティ4 難民受け入れをめぐる意見を読み比べよう

参加者の声

ワークショップ参加者の声(2019年4月・ 上智大学短期大学部

  • 自分の考えていたことがすべてではないことが分かりました。特に、マスカラムさんのエピソードを通して、難民申請がどれほど重要なものか、そして、認定を受けるまでの困難さが身に沁みました。
  • 日本でも、気が付かないだけで難民が近くにいるかもしれないということに気づいた。「難民」とひとくくりにされているけど、その背景には、それぞれの話があるということがわかった。
  • まずクイズシートをすることで、自分が難民の定義や人数などの知識が全くないことに気づかされました。日本の難民認定の数の少なさを知りました。
  • ニュースなどで「難民」というワードを聞いて知った気になっていたが、ワークショップをやってみて、まず「難民ってなんだろう」と頭にうかび、自分が何も知らなかったことに気が付いた。
  • 「難民」って生まれたときから貧しい、というイメージでした。だけど、ある紛争などを機に生活が一変してしまう人もいることを知りました。
  • 難民の人々の背景は、みんなそれぞれ違っている!

リソース

Most Shocking Second a Day Video 1 & 2

「もしもロンドンがシリアだったら」をテーマにつくられたこの映像は、ロンドンに住む女の子の9歳の誕生日から10歳になるまでの1年間を描きます。いつもと変わらない日々が徐々に戦争の影に侵されていく様子を少女の目線で観てみると、今までとは異なる視点で難民問題が見えてくるはず。
(Save the Children, 2014年)

シリア難民 16歳の少女リンさんのメッセージ

シリア紛争から逃れるためトルコからギリシアのレスボス島へとボートに乗って逃れてきた女の子・リンさん。「難民」ではなく「私たちと変わらない16歳の少女」の声にぜひ耳を傾けてください。(日本赤十字社、2014年)

ご注文方法

  • DEARの本は直販のみです。書店などには置いておりませんので(取次を通していません)、 DEARまでウェブ、ファクス、お電話にて直接ご注文ください。 詳しくはこちらのページをご参照ください。
  • DEAR事務所(東京都文京区)で直接ご購入いただくことも可能です。来所の際は事前にご連絡ください。
  • 教材総合カタログ(ヒルマ/スクラボ/PLUS)で一部の教材をご注文いただけます。詳しくはこちらのページをご参照ください。

アクティビティ集シリーズ


世界とのつながり
シンプルな4つのアクティビティを収録しています。「グローバリゼーション」はどこか遠い世界で起こっていることではなく、わたしたちの日常生活の中に入り込み、自分も、教室の中も世界とつながっているのだ、という気づきを得ることができるでしょう。 (2017年12月1日、A4判32頁、小学校中学年以上対象) → 詳しくはこちら

難民
(こちらのページの教材です)

気候変動
シンプルな4つのアクティビティと専門家による8つのコラムを収録しています。気候変動という地球規模の課題について知り、アクションを起こすきっかけになることを願って作成しました。(2020年3月、A4判44頁、中学生以上対象)→ 詳しくはこちら

プラスチックごみ
シンプルな6つのアクティビティと専門家らによる10のコラムを収録しています。未来世代に「プラスチック汚染」という負の遺産を押し付けないために、変革と行動を願って作成しました。(2020年11月、A4判52頁、小学生以上対象)→ 詳しくはこちら

服・ファッション
シンプルな5つのアクティビティと9のコラムを収録しています。「豊か」にサステナブルに、自分らしくファッションを楽しむためには?環境・気候変動・人権・労働など多様な側面から考えます。(2022年3月、A4判40頁、小学生以上対象)→ 詳しくはこちら

教材の著作権について

  • 教材・書籍等の著作権は開発教育協会に帰属します。著作権法上の例外を除いて、教材・書籍等の全部または一部を無断で複製したり、転写・引用・入力などしないでください。
    ※著作物が自由に使える場合(文化庁)http://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/seidokaisetsu/gaiyo/chosakubutsu_jiyu.html
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  • 教材・書籍等を利用して、非営利目的の講義や参加型学習プログラムを実施する際には、事前の広報資料や当日の配付資料、事後のレポート等に、使用する著作物の著作権者が当会であることを明示してください。印刷物やウェブページには、例えば、「当研修/講座で使用する教材/テキストは、開発教育協会(DEAR)発行の教材です。詳細はhttp://www.dear.or.jp/を参照してください。」等の表記をしてください。